バケ親は子どもを思い通りに動かそうとする

そのうち、ライターという仕事を通して、子育てに悩む人、苦しむ人、つまり私のような「バケ親」をたくさん取材した。
すると、バケ親像が鮮明に見えてきた。自分も含め、バケ親はアクティブで行動力があり、弁の立つ人が多かった。理詰めで子どもに逃げ道を与えない。常に指示命令をし、子どもを思い通り動かそうとする。なかには出産時点で、子どもの習い事を何をいつ習わせ、小・中学受験から進学先まで決めてエクセルで予定表を作っている人までいた。

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「雨だから傘をさせ」と世話を焼いた私が何とか変われたのは、教育や子育ての専門家から、多くのことを学べたからだ。脳科学者や小児科医、サッカーのプロコーチ。さまざまな分野の方々の話を参考にして、成功体験を得ていった。
その方法は恐らくそんなに難しいことではない。手を貸そう、世話を焼こう、怒ろう――動きたくなる口と手足を一瞬止める。つまり、立ち止まる。じっと子どもを観察していると、自分で動き出すのだ。宿題も、お風呂も、家の手伝いも。
「待ってよかった」何度、そう安堵したことだろう。

そして、今。僭越ながら、子育てセミナーなどを依頼され、保護者の前で自分の失敗談を面白おかしく話す。「親の独りよがりなエネルギーを注がず、やさしいまなざしを注ごう」と伝える。自分がバケ親だったからこそ、(バケ親の)後輩たちにやさしくできる。どうすれば伝わるかと骨を折れるのだ。

平手友梨菜演じる岩崎楓の両親は、バドミントンを継続できるよう画策する。その過程で、彼らが娘に「どうしたい?」と気持ちを尋ねることはない。彼らのように、私たち親は自分のエネルギーを過剰に注ぎがちだ。それが愛情だと勘違いしてしまう。そうではなく「自分でエネルギーを作り出せる子」にしなくてはいけないのに。