ハーバード生の親が子どもにかける言葉

私は、現役ハーバード生を講師陣としたサマースクールSummer in JAPAN(SIJ) を地元・大分で開催して9年目になります(コロナ禍により昨年よりオンライン開催)。講師をお願いする学生は、ハーバード生100人余りの応募から、私自身が毎年、書類と面接で選抜しています。「親から言われてとくに今の自分に影響を与えている言葉は?」と聞くと、彼らが決まって口にする言葉があります。それが “Make an impact”です。

大分で開催しているサマースクールSIJのひとコマ。娘のすみれさんとハーバード生が、初級ライティングをレッスン。写真提供/廣津留真理
-AD-

彼らは、親御さんにことあるごとに“Make an impact!”と励まされて育ったというのです。彼らは成長過程で決して「~~になりなさい」という名詞を目指すようには言われていません。「世界に、社会に影響を与えなさい」と「動詞」で活躍するように励まされて育っているのです

「社会を変えよう」と思って育てば、 “ You can be anything!(何にでもなれる!)”です。一方で「お医者さんになりなさい」と言われて育てば、お医者さんにしかなれません。もしなるなら、Make an impactなお医者さんになってほしいですよね。

ハーバード生がよく使う言葉がもうひとつあって、それは “ Grow out of your comfort zone.(自分の殻から抜け出せ)”です。現状を打破するところに自分の役割や未来を見出しているので、既存の職業名を目指すことには価値を置いていないのだということが分かります。

今、社会的に成功している人を思い浮かべても、職業名や肩書きという「名詞」にとらわれている人は少ないように思います。賛否はあると思いますが、たとえばホリエモンや前澤友作さん、アメリカだとジェフ・ベゾスやビル・ゲイツの職業が何なのかは、一言では答えられないですよね。マーク・ザッカーバーグだって「Facebookというプラットフォームの創始者になろう」と思って今の立場になったわけではないはずです。時代を読み、自分を信じて、常に殻を破る「ダイナミックでアーティスティック」な生き方を実践する人が、成功者になるのではないでしょうか。

それは、地道に自分の好きなことを継続し、スキルを伸ばしていった先に「動詞」での活躍があるのであって、あらかじめ「~~なる」と決めて即席講習で身につけたスキルで職業を手に入れるのとは異なります。