ALSであるが故の「胃瘻」の問題とは

「胃瘻は一度つけると外せない」そう思っている方が多いと思いますが、そうではない場合も多々あります。一時的に口から栄養を取ることが出来なくなって、治療やリハビリをするための医療装置として取り付けて、無事にリハビリを終えて口から栄養が取れるようになったら外すことが出来るのです。

多くの文献にも書かれていますが、胃瘻は外すのも難しい手術ではないそうです。外した後、胃の粘膜は3時間くらいで修復するそうで、その日のうちに食事ができてしまうと書かれています。傷跡もほとんど目立たないそうで、掲載されている写真などを見てもそう感じました。胃瘻はすごい医療装置だと思いますし、人間の回復力もすごいです。

すでにお気づきになった方も多いと思いますが、胃瘻は「リハビリや治療によって回復して、口から栄養が取れるようになる」こうなったら外せる医療装置なのです。つまり治療法がなく、リハビリなどでも回復しないALS患者の場合は、その状況になった時点で胃瘻造設をすることを決めたら、外せることはほとんどないのです。義手や義足や補助具と同じようなものとして、その後の生活を共にしていくのです。

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この判断をALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行とともに患者は考えなくてはいけないのです。もちろん家族や周囲と相談したり、私の場合はネットで知り合ったたくさんの同じALS患者の仲間たち周囲の方、そして主治医を始めとした医療チームの方やケアマネージャーさんを始めとした介護の皆さんとお話ししていきたいと思います。

私は、医療関係の皆さんも大変だなと感じているALS患者です。この連載にも書いていますが、病気や大けがをたくさんしているからかもしれません。医療関係者の方とたくさんのコミュニケーションを取ってきました。このALS罹患に関しても長年お世話になっているかかりつけ医から始まって、たくさんの皆さんとコミュニケーションを取ってきました。確かに病名がなかなか分からずに歯がゆい思いをした時もありました。

しかしALSという病名を診断してもらいスッキリしました。そして医師の皆さんは「治療法があって、数パーセントでも寛解する見込みがある」状態であれば、その治療法を紹介したり、勧めたり、そして緊急の場合は決断すると思います。でもALSはそういう病気ではないのです。

ALSの悩ましいところはここにあります。治療法がなくて進行する状況の中で、どんな対症療法をするか、最後に決めるのは自分自身なのです。

埼玉医大の成川医師に定期的な検査ごとに状態を教えていただき、今後の対症療法にもアドバイスをもらいます。呼吸器系は維持しているようです! 写真提供/津久井教生