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食べ物を落としたときの「3秒ルール」は科学的なのか?

『基準値のからくり』5

賞味期限、放射線量、電車内での携帯電話……私たちはさまざまな基準値に囲まれて、超えた/超えないと一喜一憂して暮らしています。しかし、それらの数字の根拠を探ってみると、じつに不思議な決まり方をしているものが多いようです。

そんな不思議な基準値の実情を、「基準値オタク」を自称する俊英研究者4人による書籍『基準値のからくり――安全はこうして数字になった』から抜粋してお届けします。

ここまでの連載では、「消費期限」と「賞味期限」の違いなどを解説してきましたが、今回は誰もが知っているおもしろい“基準値”として食品に関する「3秒」ルールを科学的に考えてみます。

(この記事は2014年6月に刊行された『基準値のからくり』の一部を抜粋したものです)

「3秒ルール」は外国にもあるのか

それはバスケットボールのルールではない。「床に落ちた食べ物は3秒以内に拾えば食べられる」という“伝承”である。筆者はそれを子どもの頃に知ったが、本書の共同執筆者村上も同じだという。たしかに日本にはこの伝説が存在しているようだ。

では、これは日本独特のものなのだろうか? この点に興味を持った私たちは、外国人の友人たちに、このようなルールを知っているか、実際に尋ねてみた。調査方法もいいかげんなら人数も少ない(約60ヵ国、140人)ことはお許しいただくとして、その結果は次のようなものだった。

なんと北米とオセアニアでは、ほとんどの人が知っていた。ただし “five-second rule” と呼ばれる「5秒ルール」だった。ヨーロッパでは、英国とスカンジナビアは北米並みに認知度が高かった。だが、それ以外の国やアフリカでは、その半数程度だった。

一方で、日本を除くアジアと南米では、ほとんど知られていないか、知っている人が少数派だった。「知っている」という回答のなかには、3秒、5秒のほかに「うちの国では10秒」というコメントもあったことから、時間はともかく落ちた食べ物を“すぐに拾う”ルールとして知られているのだろう。

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ついでに「このルール、実践していますか?」と聞いたところ、大半は「場合による」という答えだった。「エビチリのようなソースでベタベタしているものは拾いません」……あたりまえだろう。しかし、いわゆる乾き物なら拾うという人も多かった。

また、「聞いたことがない」と答えたタイ人やネパール人からは「ゴミや菌で汚れているに決まってるじゃないか! それは本当にルールなのか?」と、真面目な反応が返ってきたのも新鮮な驚きだった。このルールがいわばジョークの一種であることが認識されなかったのだろう。

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