コロナ禍、在宅ワークや自宅保育をせざるをえない状況が続くなか、負担を感じている母親は多い。心理カウンセラーとして数多くの家族問題の相談を受ける山脇由貴子さんのもとに訪れたある女性は、夫の在宅と子ども達の学校や保育園の休校・休園による子どもの世話で疲れ果てていた。

何よりも彼女を悩ませていたのは、近隣住民による、児童相談所への通報だった。そしてそんな彼女に追い討ちをかけるような出来事はさらに続いたというーー

突然の訪問にパニック

夫 野原 幸一(仮名)41歳 経営コンサルタント 自営
妻    里美(仮名)39歳 派遣社員
息子     (7歳)
娘      (5歳)

「誰かは言えないけれど、近隣から、大人の怒鳴り声と子どもの泣き声がひどい、という通報があった、と言われました。『お宅かどうかはわからないですけど』とは言われましたけど、間違いなく、うちだと思いました」

児童相談所の職員からは、子どもの様子を見せて欲しいと言われたそうです。

「すぐに子ども達を玄関に連れて来て、様子を見てもらいました。子ども達については『元気そうですね』と言われ、私は……イライラして怒鳴ってしまうことがあることは話しました。児童相談所の人からは、『コロナでお母さんも大変ですよね。でも、気を付けて下さいね』とか、『悩みがあったら相談してくださいね』と言われて、連絡先も教えてもらいましたが、私、すごく混乱してしまって。児童虐待を疑われたんだって思って、パニックになってしまったんです」

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里美の気持ちも理解できます。いきなり、児童相談所がやってきたら、誰だって混乱するでしょう。

「児童相談所は、近隣から通報があれば、子どもの姿を確認しなければいけないことになっていますし、実際、どのお家かわからなければ、数軒訪問して回ることもあるので、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。全ての通報に深刻な虐待を疑っているわけではありませんから」

私は言いました。実際、特に東京などの住宅が密集している地域では、近隣からの大人の怒鳴り声や子どもの泣き声に関する通報は多く、児童相談所はその通報に対して何らかの形で、子どもの安全を確認しなくてはならないのです。学校や保育園に子どもの様子を問い合わせる場合もありますが、緊急事態宣言下ではそれが出来なかったので、すべての家庭を訪問するしかなかったのです。

私の言葉に、里美は安心する様子もなく、首を横に振りました。

「それだけじゃないんです」