高齢化や過疎、都市部への人口集中など、今、日本各地でコミュニティはさまざまな問題を抱えています。そんな中、「人とのつながり」に焦点をあて、新たな方法でコミュニティを再生させようとする地域や団体が増えています。

今回は団地の事例から、これからのコミュニティのあり方を探りました。

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住んでいる人たちが主役。
大阪・堺市の「団地改革」。

大工仕事の工具や作業スペースを無料で貸し出す「DIYのいえ」。

大阪府の南部、堺市南区にある茶山台団地は50年以上前に建てられた大型団地。29棟約1000戸を構え、かつては多くの家族で賑わったが、ここ数年は住民の高齢化もあり、ひどいときには170戸が空室に。子どもの姿も減っていた。そんな状況を打開しようと立ち上がったのが団地の管理を行う大阪府住宅供給公社。地元NPO法人などと協働して本格的に団地再生に取り組み始めた結果、若い世代の入居が増加し、空き部屋は大きく減少したという。しかも再生プロジェクトを開始してからほんの5年だというから驚く。

ふだんは人通りが少ない16号棟周辺に久々に活気が戻った。

「一般的に団地のコミュニティづくりは自治会が担いますが、住民の高齢化により担い手が減り、活動が疲弊していました。自治会がうまく機能しないなら、違った軸でコミュニティづくりをするべきではないか。それがそもそもの始まりでした」とは、再生プロジェクトの旗振り役として活動し続けてきた大阪府住宅供給公社の田中陽三さん。プロジェクトを立ち上げるにあたって、コミュニティづくりの情報発信を行うソーシャルウェブマガジン〈greenz.jp〉の東善仁さんに相談を持ちかけた。住宅が余る時代に住宅供給公社は何を提供していけばいいのか? 東さんと全職員でワークショップを開き、頭を捻った。

左から、ちゃやマルシェの戎野哲也さん、やまわけキッチンの湯川まゆみさん、大阪府住宅供給公社の田中陽三さん

「話し合いを重ねる中で気がついたのが、『そういえば僕たちは住民目線ってよくわかっていないよね』ということ。実際、公社が管理する団地に住んでいる職員はゼロ。それじゃあ住民が本当に求めるコミュニティなんてつくれません。そのとき『僕、住みましょうか?』と名乗りを上げてくれたのが東さんでした。そこで2015年より『団地滞在生活型コミュニティ支援』という形で、団地に住みながらコミュニティづくりに取り組んでもらうことになったんです」