「この人と夫婦でいるの、しんどいな」

「私の中の優先順位は、1位が子どもで2位が勉強。だから、あまり気にしないでいたら、中学時代の同級生で元夫と共通の友人から連絡があり、『ねえねえ、〇〇くん(元夫)が、あなたが浮気してるとか、あたりがきついとか文句を言ってるよ』と聞かされたんです。えーっと思って、友だちに経緯を説明したら、その子はわかってくれました。でも、そういうことを不用意にまわりに言う人なんだ、と思ったら、元夫に対する気持ちがさーっと冷めてしまった」

恋愛経験もほとんどないまま、互いにほぼ最初に付き合った彼氏・彼女が、いきなり親になってしまった。亜美さんは子育てを通して大人になっていったが、元夫は経済的にも精神的にも子育てに参加していないから、ずっと子どものまま。その上、幼稚な嫉妬をふくらませてしまった。子育てをしながら学校に通う亜美さんの多忙な生活を少しでも理解していたら、「浮気」という2文字が頭に浮かぶはずもなかった。

「この人と夫婦でいるの、しんどいな。このまま距離をとっていたいな」
亜美さんの白けた気持ちを察したのか、元夫は急に亜美さんにコンタクトを多くとるようになった。何度も電話をかけてきたり、夜中に突然、家にやってきたりした。元夫なりに、関係の修復を考えたのだろう。
もちろん亜美さんも、このままでいいとは思っていなかった。夫婦らしいことをしてみたら、もう一度、心が近づくのかもしれないと、ある提案をしてみた。

「私たち、結婚指輪も作っていないよね。結婚指輪が欲しいな」

亜美さんとしては、2人で指輪を選んだり、買うためにお金を貯めたりする過程こそが夫婦として大事だと考えた。
「でも、元夫は、言われたその次の週にペアリングを用意して持ってきたんです。そうじゃない! がっかりしました」
元夫は、亜美さんが単純に指輪を欲しがっているのだと思った。だから、誠意を尽くして買ってきた。そう、悪い人ではないのだ。

関係性を修復しようと試みたものの、価値観の違いが浮き彫りに(写真はイメージです)。Photo by iStock
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「結局、溝は埋まらないまま、彼は1年間の留学に行ってしまいました。留学自体はいいことだと思うけど、いま、この状態で私と子どもを置いていくのか……と。いい気持ちはしませんでした」
とはいえ、結果として元夫に心乱されない1年間、亜美さんは勉強と子育てに集中できた。元夫からは1〜2通の手紙が届いただけだった。