『進撃の巨人』を“読んだ人”と“読まなかった人”にこれから起こる「圧倒的な差」

戦略デザインの教科書

ついに伝説が終劇を迎えた。10年以上にわたり社会現象を巻き起こし続けた『進撃の巨人』のことだ。

本稿の題材は、この伝説的連載漫画。ただし、YouTubeやネット記事に溢れる「伏線考察モノ」ではなく、本稿はあくまで戦略論の観点から、物語を考察した「ビジネスモノ」である。

進撃の相談室』の著者で、電通でのクリエイティブ職を卒業後、様々なブランド戦略・マーケティング戦略を実行してきた戦略論のプロフェッショナル工藤拓真氏から、フィクションからの学びを、いかにノンフィクションな現実社会に活かすのか、その術を学ぶ。

『進撃の巨人』に触れたことがないというビジネスパーソンも、本稿をきっかけに、ぜひ読んでみてほしい。そこから学び取れる情報の質は、ベストセラーのビジネス書をも凌駕する。

 

物語から学ぶ、戦略デザイン4つの肝

営業戦略、マーケティング戦略、ブランド戦略、人事戦略、経営戦略…etc. ジャンル問わず、「戦略」と名がつくものには、業界や業種を超えて共通する大原則があります。

もちろん、シンプルな原則だけで、複雑怪奇な現代ビジネスの闘いに勝利することはできません。ただし、プロフェッショナルこそ、基本の型は大事なものです。プロスポーツ選手でも、素振りや走り込みを繰り返すように、どんな熟練ビジネスパーソンであっても、定期的に基本のフォームをチェックし直すべきです。

もし基本の型を疎かにして、ただ自由奔放にふるまう「形無し」の仕事術になってしまっては、決して「型破り」な成果は実現できません。だからこそ、ビジネス初心者であっても、百戦錬磨の熟練者であっても、改めて戦略の基本のキ、原則から学ぶ価値があります。

 そして、それらを余すことなく学ぶことができる教科書こそ、全34巻におよぶ現代の神話『進撃の巨人』なのです。

作中で描かれる戦いの形は様々。肉弾戦、心理戦、情報戦。しかも、主人公が気持ちよい完全勝利を収めるといった、単純な少年漫画の構造をとることはまずありません。

瞬く間に、敵と味方が入れ替わる世界。一話終わるごとに、次回のあらすじが読めなくなる。そんな展開が、2009年から繰り広げられ、2021年6月9日の最終巻発売をもって、ついにフィナーレを迎えました。

アフリカの歴史や北欧神話など、世界中の様々な知性がモチーフと言われる「進撃の巨人」。歴史学には歴史学のレンズから、政治学には政治学のレンズから、様々な考察を加えることができる作品です。

終盤で描かれる国家間の衝突と疲弊する市民の様子は、現代政治の問題点を浮き彫りにしているかのようです。そんな噛みごたえのある題材をもとに、本稿はビジネスで活用されることの多い「戦略論」のみにフォーカスして、議論を進めます。

話こそフィクションですが、その学びは、ノンフィクションな世界で十二分に活用できる、戦略デザインのケーススタディ集なのです。

前著『進撃の相談室』では、戦略論という言葉を聴く機会すら少ない13歳向けに(ちなみに、13という数字は作中でも重要な意味を持ちます)、戦略創りの基本のキを、エレンたちの物語に沿ってご紹介しました。

直接的にビジネスの話には触れない内容であったにもかかわらず、予想外なことに、多くのビジネスパーソンが手に取ってくれたそうです。

そういった反響も踏まえて、今回は、日々格闘を繰り広げるビジネスパーソンの方々たちに、進撃の巨人から学ぶ、「戦略デザインの4原則」をお届けします。

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