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# 格差

日本に拡がる新しい格差、その原因が「リモートワーク」にあると言えるワケ

儲かる職種、そうでない職種に差が…
コロナ禍で激変した生活スタイルのひとつに「リモートワーク」の浸透が挙げられる。ただ、当然ながらすべての職種で在宅勤務が実現できるわけではない。社会学者で中央大学文学部教授の山田昌弘氏は、リモートワークでも生産性の向上が図れる職種とそうでない職種で、新しい「格差」が開いていく可能性があると指摘する。

エッセンシャルワーカーの窮状

リモートワークの普及は働く人々にそれまで存在しなかった「新しい格差」を生み出すことになりました。それは、「リモートワークが可能な仕事」と「不可能な仕事」の格差です。

お客さんの来店が前提となる飲食業、アミューズメント施設やテーマパーク、観光などのサービス業で働く人は、そもそもリモートワークではサービスを提供することができません。また高度な専門知識や国家資格が必要となる職業でも、リモートワークができない業種はたくさんあります。いうまでもなく医療業務もその一つです。

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人間を相手とする医者や看護師、看護助手、介護施設などで働く人々は、リモートワークで仕事を行うことは当然できません。医師や歯科医師、獣医師といった専門の医療職に就くためには、大学の医学部、獣医学部、歯学部で専門の知識を学び、国家試験にパスする必要があります。

それでも多くの人々がそれらの職業を目指すのは、高い収入と社会的な地位、安定した収入が長年にわたって見込めるからですが、コロナ禍はそうした専門職の安定性をも揺るがしてしまったのです。

それだけではありません。2020〜21年1月にかけてのコロナ感染者の右上がりの増加は、「現場の医療崩壊が起こるのではないか」という懸念を引き起こしました。その一方で、病院での感染を恐れる人が通院を忌避するようになったことから、多くの病院で閑古鳥が鳴いているという状況も同時に起きました。

具合が多少悪くても病院に行かないのは、「コロナ感染のリスクがある」と判断するためです。そればかりでなく、定期的な通院を習慣にしていた高齢者たちも、以前に比べて病院に行かなくなりました。そのため、「不要不急」の患者を診療することで利益を出していた多くの病院が、収入減の脅威に晒されたのです。

日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の三団体が2020年6月5日に公表した「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査」の追加報告では、新型コロナの影響で、全国の3分の2の病院が赤字になったことが明らかになりました。

とくに東京都では、コロナ患者を受け入れている病院の約9割が赤字に転落しており、2020年4月時点ですでに、医療利益率が3割近くも低下していたとのことです。パンデミックが長期化すれば、中小規模の病院から閉院し始めていくということも予想される事態です。

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