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家庭で重宝された「火時計」、錠前師たちが作った「砂時計」…知られざる時計の歴史

誰かに話したくなる『時計の科学』2

人類はどのように「時間」を発見し、そして「時計」を作ってきたのか? 時の研究家・織田一朗さんに人類と時計の歴史を5回の連載で解説していただきます。

前回は人類が最初に作り出したといわれる「日時計」、そしてその後に誕生した「水時計」を紹介していただきました。今回登場するのは「火時計」と「砂時計」です。

(本稿は『時計の科学』の内容を再編集したものです)

火種としても重宝した火時計

人類は、燃焼する火を使って、「火時計」(燃焼時計)も編み出しました。西洋では、ろうそくや油を使ったものが多いのですが、中国や日本では、香や線香、火縄なども使いました。

ろうそく時計は、ろうそくの側面に、目盛りを記しておき、燃えずに残っている目盛りで、経過時間を読み取ります。中世のフランスで流行し、ルイ聖王(9世)は十字軍の遠征時にも携行し、幕舎の中でも使用していたそうです。

ランプによる火時計は、あらかじめ目盛りを記した容器に油を注いで着火し、残っている油の量から時間を読み取ります。しかし、溜まっている油の量によって下部にかかる油圧が変わると、燃焼のスピード(油を消費する速さ)が変わってしまいます。このため、圧力を平均化するよう、油槽の形を洋梨型にするなどの工夫がなされていました。

ろうそくやランプによる「火時計」 Illustration by iStock

これら火時計の室内を明るく照らす火は、電灯がなく、夜は神に代わって悪魔が支配すると信じられていた時代に、人々に暖と安らぎを与えました。また、マッチが開発されていなかった時代には、一から火を起こすのには面倒な労力が必要でしたので、いつでも点火装置になる火時計の実用機能が重宝がられました。したがって、機械式時計が一般の家庭に普及した後にも、比較的貧しい家庭では引き続きランプ時計が利用されていました。

火縄時計は古代の中国で使われていたもので、長さ50〜60センチの火縄の所々に印をつけて、時刻が分かるようにしてありました。見張り番の交替時間を知らせるための火縄時計では、事前に予定時刻の所に結び目を作って時間を確認したものです。

燃焼は特有の臭いを発するので、薫香を漂わせる香木を粉末にして固めた線香を用いたものもありました。

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