「ベンチで応援するのはスポーツじゃない」日本特有の謳い文句“高校最後”の罪

ほめて伸ばすコーチング(8)
林 壮一 プロフィール

燃え尽き症候群にならないために

アメリカ合衆国で、プロのアスレティックトレーナーとして生きる北川の目にも、補欠部員として応援歌を合唱するだけの部員たちの姿は、本来のスポーツではない特異なものと映る

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「たとえ3軍であったとしても、試合に出てナンボですよ。試合経験が財産になるんです。アスリートは試合のためにトレーニングするはずです。なのに、日本の補欠の子たちは、練習のための練習になってしまっていますよね

人間は、なかなか自分のやって来たことを否定できないですから、スタンドで応援歌を歌っていただけの日々を誇らしく思ったりもするんですよ。そこにも僕は違和感を覚えます。甲子園をはじめとした日本の学生スポーツは、捻じ曲がっていると思います」

高校生アスリート育成における日米の差を、北川は次のように話した。

「高校年代のアスリートの育て方の違いで僕が印象に残っている点は、やはり褒め方です。少なくとも僕の周りでは一人の人間をきちんとコーチングしている、人間形成をしている印象があります。コーチは、親御さんからお子さんを預かっている責任を感じているでしょう。高校年代でいい経験をさせ、しっかりした生き方を伝えれば、彼らの20代、30代、そして一生が良くなっていくということをわきまえてコーチングしていますよね。

選手個人をコマのように扱うのではなく、感情のある人間として接しています。この子は内気な子だとか、陽気だとか、短気だとか、我慢強いということを把握しながら、その子に応じた話し方、コーチングの仕方、合うスポーツなんかも考えていきますよね」

そして、高校3年生にして人生の総決算のような演出を続ける甲子園的な日本の全国大会についても触れた。

日本は高校年代で燃え尽きさせてしまう節がありますが、アメリカは州チャンピオンまでで終わりです。大学に行って初めてナショナルチャンピオンシップの存在を知ることで、ステップアップを感じるのではないでしょうか。高校で人生が終わるような日本特有の価値観は、エンターテイメントとしてはいいでしょうが、見ていて檻の中で戦わせているような気持ちになることがありますよ

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