“学ばない”無能な指導者が奪う、子どもたちの未来

ほめて伸ばすコーチング(4)
林 壮一 プロフィール

学校の“生徒集め”に利用されるスポーツ

同年9月26日、大阪地裁は彼に対し、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。2016年2月24日には、少年の遺族が大阪市を相手に約1億7400万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が下り、東京地裁は市に約7500万円の支払いを命じている

そして2018年2月16日、大阪市が遺族に支払った損害賠償金のおよそ半額を負担することをこの体育教師に求めた訴訟では、大阪地裁が請求通り約4300万円の支払いを命じた。判決後、大阪市教育委員会は「市の主張が認められた」とコメントした。

被告の教師は日本体育大学時代、公式戦に出場できるレベルの選手ではなかった。2軍にも入れなかったという。加えて、配偶者の父はラグビーの日本代表を経て高校の指導者となり「泣き虫先生」として有名になった人物だ。

この教師と同年代の日体大OBで、現在は公立高校の管理職である人物は言った。

「少子化が進み、今や全国のどの高校でも生徒集めに苦労しています。名門大学に何名合格した、甲子園に出た、インターハイに出た、となると子供が集まる。私立なら生徒数と受験者数が利益に直結しますし、公立校も志願者の数が教育委員会へのアピールとなる。即ち、校長の業績となり、出世に繋がるんですよ。桜宮高校は強いとバスケットボール部に入りたい受験者が増せば、校長の評価は上がります。

選手としてパッとしなかったからこそ、指導者として認められたかったのでしょう。全国大会に何度か出場し、自分に酔いしれていたんじゃないかな。義父への対抗意識やコンプレックスもあったでしょうね」

 

元バスケ全日本監督が見た暴力指導者

2016年9月22日、「Bリーグ」として、日本にも本格的なプロのバスケットボールリーグが産声を上げた。この日を遡ること22ヵ月前の2014年11月、日本は国際バスケットボール連盟(FIBA)から、国際試合禁止処分を下されている。国内に日本バスケットボールリーグ、bjリーグと、2つの団体があり、再三にわたって統合を求めるFIBAの要請に耳を貸さない姿勢が問題視されたのだ。

この問題をホワイトナイトのように解決したのが、Jリーグ初代チェアマンである川淵三郎であった。2つの組織を統一し、古参兵を一掃。2015年8月にはFIBAの処分も正式に解除され、Bリーグ発足に向け新体制ができあがった。

だが、プロリーグと言っても、競技レベルもチーム運営も世界最高峰のNBAとは雲泥の差である。4季目の2019年8月8日には、早くもB2香川ファイブアローズのヘッドコーチによる暴力行為が発覚し、リーグから制裁を受けた

このヘッドコーチはアメリカの独立リーグでアシスタントコーチを務めた時期があったようだが、選手を指導するのに相応しい人間性だったとは思えない。

「シュートを落としたとかミスをしたことで手を出したわけではありません。大変期待をしていたり、特に私とコミュニケーションが取れている選手、そういう選手が当該選手となっていますが、各々の選手の課題、技術的な部分ではない部分での課題。

例えば言動であったりとか、この業界でずっと活躍していってほしいという私の強い希望があり、『そのためにこれだけは改善しよう』という課題がありました。それに対して『これはやめようね』と言っていた行動を起こした時に手を出したのが事実です」

ヘッドコーチは自らの行為が、パワハラであるとは認識していなかったと話し、チームの代表者と共に辞任した。

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