『大豆田とわ子』は「視聴率」を意識しないからこそ最高のドラマとなった

坂元裕二が一貫して描いてきたもの
高堀 冬彦 プロフィール

純文学的なドラマでしか描けない世界

片や高視聴率を目指すドラマの大半は大衆文学的。純文学的なものはなかなか制作されない。出版界が純文学も大衆文学も同等に大切にしているように、テレビ界も坂元作品を始めとする純文学的作品を守る術をより考えるべきではないか。

純文学的なドラマでしか描けない世界があるからだ。坂元氏は自分の目指している方向性を次のように語っている。

「普通の生活のなかで、なにか視点が変わったり、見ていなかったものが見えるようになったり、ダメな人の嫌いだった部分が好きになったり、面白さに気づいたり、立派なことを言っている人が胡散臭く思えてきたり・・・そういうふうに現実に影響を及ぼすものを作りたいなと思います」(※2)

『大豆田とわ子』の話に戻りたい。6月3日の本稿で、このドラマが第7話から第2章となったのは、かごめを喪ったとわ子の再生が大きなテーマになるからだろうと記した。

『大豆田とわ子と三人の元夫』とわ子を演じた松たか子 photo by gettyimages
『大豆田とわ子と三人の元夫』田中八作を演じた松田龍平 photo by gettyimages

その再生は6月8日放送の第9話でひとまず遂げられたようだ。自分がかごめを忘れない限り、彼女はいつまでも生きていることに、とわ子は気づいたからである。

復縁の可能性を尋ねた最初の夫・田中八作(松田龍平、38)に向かって、とわ子は表情で否定し、こう言った。八作はとわ子が好きだが、かごめにも心を寄せていた。

「今だってここにいる気がするんだもん。3人いたら恋愛にはならないよ・・・いいじゃない。こうやって、一緒に思い出してあげようよ。3人で生きていこうよ」

『大豆田とわ子』も古くならず、ずっと語り継がれるのだろう。

 

※1 Yahoo!ニュース オリジナル特集 2018年9月23日配信 
※2 ユリイカ 2021年2月号

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