『大豆田とわ子』は「視聴率」を意識しないからこそ最高のドラマとなった

坂元裕二が一貫して描いてきたもの
高堀 冬彦 プロフィール

『花束みたいな恋をした』で描かれたもの

一方、恋愛は人間と切り離せないものなので、純文学でもよく描かれる。坂元氏が脚本を書いた映画『花束みたいな恋をした』も純文学的に見えた。恋愛をした2人の内面を掘り下げた作品に映ったからだ。

斬新だったのは2人の性別をほとんど無視したところ。映画もドラマもラブストーリーは男性性(男性らしさ)と女性性(女性らしさ)を強調しがちだが、この作品にはそれがなかったこと。登場した山音麦(菅田将暉、28)と八谷絹(有村架純、28)は個性の違いこそあったものの、それは性に基づくものでなかった。

『花束みたいな恋をした』山音麦を演じた菅田将暉 photo by gettyimages
『花束みたいな恋をした』八谷絹を演じた有村架純 photo by gettyimages
 

この作品は1月末に封切られ、現在も上映中。興行収入が37億円を突破する大ヒットとなった。動員した観客数は約270万人に達している。

500万人以上が観ても世帯視聴率が5%程度にしかならないドラマとは違い、映画は入場料を払ってでも良質なものを観たい人が200万人いれば大ヒットとなる。

なので、純文学を原作とする映像はドラマより映画のほうが、成功例が目立つ。金原ひとみ氏(37)の『蛇にピアス』(映画化は2008年)や吉田修一氏(52)の『横道世之介』(同2013年)、『楽園』(同2019年)などである。『花束みたいな恋をした』の大ヒットも不思議ではない。

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