日本の選手が「受動的」になる理由
出水中央高校の暴行動画を目にした、アルゼンチン出身の元プロサッカー選手で浦和レッズでもプレーし
「あり得ない指導です。彼に監督の資格は無いですね。皆、サッカーが好きだから部活に入って、選手権に出たい、全国大会で活躍したい、あるいは県のトップを目指すのは難しいけれど、自分のレベルで最大限頑張ろうっていう気持ちで汗を流しています。そういう子たちの純粋さを砕いてしまっていいんですか?

せっかく日本でもサッカーが人気スポーツになったというのに、こういう指導者の意識を変えていかないと、日本のサッカーはいつまでたっても世界の強豪になれないと僕は思います」
エスクデロは、選手が指導者に絶対服従を強いられている日本の状況が、代表チームをも浸食していると話す。
「サッカーと出会った幼少期の頃から、『コーチが怖くて仕方ない』という風土が受動的な子ばかりを生んでいる。自分の頭で考えてプレーすることや、ファイトする選手が見当たりません。
現代表チームも五輪代表チームも、日本の問題点を露呈していますね。勝負をせずにセーフティーなプレーを好んでいる。2019年3月22日のコロンビア戦(0-1)も、同年11月19日のベネズエラ戦(1-4)も、12月18日の東アジアE-1サッカー選手権における韓国戦(0-1)も、まるで良いところなく敗れました。2020年10月のカメルーン戦(0-0)、コートジボワール戦(1-0)、11月のパナマ戦(1-0)も、ちぐはぐなプレーに終始していましたね。悪しき日本の伝統を象徴するかのような代表に、心底、ガッカリしました」
1992年に来日して以来、日本のサッカーを見続けてきた彼は、その歩みを冷静に見詰める。
「1993年にJリーグが産声を上げて、今シーズンで29年目ですか。J1で活躍すれば、そこそこの財を築けるし、注目もされます。たとえばJ1のチームに在籍し10年レギュラーを務めれば、ある程度の金銭的な成功を得られます。だから選手たちが、それで満足してしまっているように見えますね。
危機感の無さや上を目指そうというスピリッツの欠如が、海外の強豪国との埋まらない差を生んでいます。僕に言わせれば、日本は飽食の国、豊かすぎる国です。世界と比べたらまだまだ力量は下なのに、いい給料をもらってすごい車に乗って、きれいな奥さんと素敵な家に住めたら、どうしたって向上心は失われていきますよ」