菅義偉に首相はムリだった。なのに、なぜ「菅降ろし」が起きないのか

麻生、安倍…自民重鎮の策動「全内幕」
戸坂 弘毅

菅首相に対する恐怖?

ただ、周辺は安倍の真意を「どうせ衆院選では議席を減らすだろうから、安倍さんは選挙後の総裁選で菅に代わる新総裁を選べばよいと考えているのだろう」と推し量ってきた。5月に入って内閣支持率がさらに低下すると、安倍が自らの病気の完治を明らかにしたこともあって、安倍の再々登板を望む声も広がり始めていた。

そこにきて、安倍の菅続投支持の発言だ。細田派ではちょっとした騒ぎになった。幹部は「なぜあそこまで踏み込む必要があったのか。理解に苦しむ」と漏らし、派内には安倍に対する落胆の声が相次いだ。

この発言の真意について、多くのメディアが「早々に再選支持を打ち出すことで二階氏に代わって政局の主導権を握り、幹事長を自らに近い議員に交代させようとの思惑があるのではないか」などと報じた。

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確かに内閣支持率は下がり、自民党の支持率も低下傾向だが、野党の支持率は伸びておらず、候補者一本化の動きも遅れている。立憲民主党に一本化された選挙区でも、国民民主党支持の民間労組は、立憲と国民との間で正式に協定が結ばれない限りは動けないとして、立憲の支援要請を突き放す動きも目立つ。

そのため、自民党は逆風の中の選挙でも20〜30議席減に留まる可能性がある。そうなれば「コロナの逆風の中で健闘した」として菅続投の流れとなり、いち早く菅続投支持を打ち出した安倍が「キングメーカー」として政局の主導権を握ることが可能になる。

安倍は次の衆院選挙後、細田派会長の元幹事長・細田博之を衆院議長に就任させ、自らがその後任の派閥会長に座るつもりだ。最大派閥のトップとして影響力を発揮する環境作りが発言の動機のひとつであることは間違いないだろう。

だが、安倍に近い細田派の関係者は、全く別の理由を挙げる。発言の最大の理由は、「安倍氏が菅首相を恐れていることだ」というのだ。

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