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大相撲と力士の将来を守るための「改革」が急務と言えるこれだけの理由

大相撲メディカルシステムの構築に向けて

今、大相撲に求めらる「改革」

大相撲5月場所は照ノ富士が優勝決定戦の末に2場所連続、通算4度目の幕内優勝を決めた。

数年前に頭角を現してきた時は相手の攻めを受け止めてから持ち前のパワーでなぎ倒すようなスタイルだったのだが、序二段まで番付を落とした後は、パワーも健在で時折強引なきめ出しや豪快な投げも見られるが、取組の多くは鋭い立ち合いから差して相手に攻撃させずに素早く決着を付けるという形である。

貴景勝や朝乃山、そして正代といった力士たちが大関に昇進する中、長期休場を経て30歳を目前に大関に復帰、次世代力士を圧倒する形で相撲界を席巻する照ノ富士のストーリーは魅力的に映る。若き日の自分を越えて、進化して戻ってきた。その結果、以前は届かなかった「横綱」にまで手を掛けている。照ノ富士が勝つと、ツイッターのトレンドワードに毎日上がるほど、その注目度は高い。

伊勢ヶ濱部屋HPより

だが、この復活ストーリーの美しさを礼賛する以上に、問題視しなければならないことがある。照ノ富士の長期休場が、膝をはじめとする怪我と内臓疾患という健康問題に起因していたことである。

大相撲は昭和33年に6場所制に移行してから、いつの時代も大横綱たちが土俵を牽引してきた。栃錦・若乃花の「栃若」に始まり、大鵬・柏戸の「柏鵬」、北の富士と玉の海の「北玉」、北の湖・輪島の「輪湖」、そして千代の富士、貴乃花、朝青龍、白鵬と時代を紡いできた経緯がある。大横綱たちが土俵を締めることによって、大相撲は輝きを保ってきたと言えるのではないかと思う。

だが今年で36歳になる白鵬以降、その系譜を継ぐ者は現れていない。大横綱たちの多くが20代前半から土俵を席巻していることを考えると、現在が「非常事態」であることがお分かりいただけるだろう。

 

全盛期の三分の一程度しか入門者が居ないことや、他の人気スポーツに人材を奪われているということも原因の一つではあるが、若くして昇進した力士の多くが幕内上位の相撲に適応する前に、大きな怪我を負いながら強行出場せざるを得ないという事情がある。

野球やサッカーでは、大怪我した選手が完全復活を目指して1年以上欠場するケースも見られるが、大相撲だと横綱以外は番付が降下するためにそれをすることも出来ない。怪我をした後に万全の状態に戻すというケアが必要であるし、そして何より、怪我を未然に防ぐという意味での「改革」も急務だと言える。

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