失敗したくない若者たち。映画も倍速試聴する「タイパ至上主義」の裏にあるもの

【映画を早送りで観る理由 #3 若者の「タイパ至上主義」】

映画やドラマ、アニメを倍速視聴、もしくは10秒飛ばしで観る習慣に対する違和感を、記事「『映画を早送りで観る人たち』の出現が示す、恐ろしい未来」に書いたところ、大きな反響があった。その内容を深堀りした記事を全4回で配信する本企画、今回はその第3回。

前回記事「『オタク』になりたい若者たち。倍速でも映画やドラマの『本数をこなす』理由」では、特に若者たちのあいだで倍速試聴の現象が広がる理由について考察した。

彼らは拠りどころが欲しい。個性的でありたい。その結果、オタクに憧れる。カルチャーシーンから“メジャー”が消え、ゆとり教育のなかで「個性的であれ」と言われて育った若者たちがそうした傾向をもつことは、まあ、理解できる。

ただ、彼らはその“オタクになる過程”を、「なるべくコスパ良く済ませたい」と願う。「観ておくべき(読んでおくべき)重要作品を、リストにして教えてほしい」と言う。

なぜ現代の若者は、手っ取り早くオタクになりたいのか。

 

タイパ(タイムパフォーマンス)至上主義

そもそも、一般の人が費やさないほど膨大な時間を、自らの専門分野に投じたからこそオタクなのであって、オタクは「コスパ」から最も遠いところにある存在のはず。

しかし、倍速試聴が習慣づいている若者たちの口癖は「外したくない」だ。「回り道」や「効率が悪い」ことを、とても恐れている。倍速視聴の根っこにあるのも、それだ。2時間の作品を1時間で観られたら、たしかに「効率」はいい。

彼らは、2時間の作品が1時間で観られたことを、「タイパがいい」と言う。「タイムパフォーマンス」の略、いわば「時間コスパ」だ。無駄な時間が生じることを、何よりも恐れている。

中には、こんな人もいた。

「結末までをダイジェストで紹介している動画、もしくはまとめサイトや口コミサイトのあらすじを読んで、観る価値があるかどうかを判断してから観ます」

〔PHOTO〕iStock

言うまでもなく、理由は「外したくない」から。つまらない作品をつかまされて、時間が無駄になるのを避けたいからだ。彼らは何本もの駄作をつかまされた挙げ句、自分にとっての傑作にたどりつく喜びは解さない。もしくは、そこに価値を置かない。そういう「回り道」は、「タイパが悪い」からだ。

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