藤と川合というキャラクターの魅力
――ご自身が演じるキャラクターの魅力はどこにあると思いますか?
戸田:裏表がないところですかね。良くも悪くも思ったことが口に出るっていうのは、すごく危険でもあり、でもそれが魅力的でもあって。ユーモラスに感じるときもあれば、キュートに見えるときもある。藤はそんな不思議な魅力をもったキャラクターだと思います。
永野:川合は自分に対してすごく正直なところですね。やりたいことがはっきりしているし、自分が失敗したときはちゃんと反省ができる。あとは、計算高くないところもみんなから好かれるポイントかなと思います。
戸田:先生に聞きたかったんですけど、原作のキャラクターは先生の周りにいた人たちがモデルなんですか?
泰:モデルはいますが、本人たちがそのキャラクターを見てもわからないくらいには要素を混ぜこぜにしていろいろと隠していますね。物語も実体験がベースになっていますが、あった出来事はそのまま描かないようにして、あくまでそこにいた人たちの考え方や仕草をフィクションに落としこむことを意識しています。
戸田:先生が警察官だったときは、川合と藤、どちらのタイプだったんですか。
泰:新任時代ももちろんあったのですが、巡査部長として新任の女の子を見なければいけない時期もあったので、立場としてはどちらもわかるなという感じで描いていますね。
戸田:誰に一番感情移入するとかってありますか?
泰:ひとりもいないです。
永野:ええ、そうなんですか。
泰:『ハコヅメ』はとにかく描きっぱなしで、自分で読み返すこともないんですよ。なんだか恥ずかしくて。おふたりはご自身が演じるキャラクターに感情移入したり共感するところはありますか?
戸田:どうだろう。藤ってひとつの目標にまっすぐひたむきに突き進む強さがありますよね。合コンとかも参加しているから恋愛に興味がないわけではないんだろうけど、はっきりとした目的地があるからそれどころじゃない、みたいなところがある。私はどちらも欲しいタイプというか、仕事も恋も二兎を追いたいタイプなので、藤みたいな人のことを理解はできるけど、彼女みたいな強さは持ち合わせていないなと思います。
永野:恋の話でいうと、川合も少女漫画で恋愛を勉強したりしているところが可愛いですよね。ただ、彼女も本気で彼氏がほしいかというとそうではなくて、自分がやるべきことがあると思っているから警察官として勤めているというのが前提にある。そういう、自分のやるべきことを理解しているところはちょっと似ているなと思いながら読みました。