「左翼」の時代が来る!分断が加速する今こそ“左派の思考”に学べ

池上彰・佐藤優が語る「左の教養」
池上彰×佐藤優

「リベラル」と「左翼」は対立的な概念

佐藤 左派の視点から近現代史を捉え直すことが必要と考える第二の理由は、左翼というものを理解していないと、今の日本共産党の思想や動向を正しく解釈できず、彼らの思想に取り込まれる危険があるということです。

問題は、最近の若い人たち―私たちからすると、「若い人」というのは40代まで含めた話ですが―は、左翼のことをあまりに知らなすぎるということです。

私が最近、一番それを感じて危ないと思ったのが、数年前から噂されている「枝野革マル説」です。

池上 立憲民主党の枝野幸男代表が、警察白書で「極左暴力集団」と名指しされている革マル派のシンパであるという説ですね。

枝野氏が革マルとの関係が指摘されているJR総連から献金を受け取っていたことが根拠になっているようですが。

立憲民主党・枝野幸男代表(photo by gettyimages)

佐藤 これがありえないということは、枝野氏の出身大学である東北大学が1980年代は中核派の主要拠点のひとつであることを理解してさえいればわかるはずなんですよ。

仮に彼の年代で、東北大学で革マルのシンパなどやっていたら、リンチに遭って学業を全うできるはずはありませんから。そういうことを含めて愚にもつかない話が、いまネットを中心に山ほど転がっているんです。

池上 立憲民主党と革マルのつながりを安易に信じてしまうくらいだと、学生運動や過激派の流れを作った「新左翼」と共産党の区別もついていないんでしょうね。

佐藤 あるいは「左翼」と「リベラル」が全然別の概念だということも理解されていません。本来はリベラル(自由主義者)といえば、むしろ左翼とは対立的な概念です。

たとえば、左翼は鉄の規律によって上から下まで厳しく統制され、またそれを受け入れるものであったのに対して、リベラルは個人の自由を尊重する思想ですから、そうした規律を嫌悪します。

でも今では、左派とリベラルがほとんど同じもののように考えられています。

池上 ただ、そこには「左翼」と呼ばれることを嫌った「オールド左翼」たちが、自らを「リベラル」と称するようになったことも背景にあるかもしれませんが。

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