「左翼」の時代が来る!分断が加速する今こそ“左派の思考”に学べ

池上彰・佐藤優が語る「左の教養」
池上彰×佐藤優

なぜいま「左翼史」なのか

佐藤 格差・貧困に加えて戦争の危険もかなり現実味を増しています。2021年1月に行われた北朝鮮の第8回大会の軍事パレードでは、新型の潜水艦発射弾道ミサイル
(SLBM)など、多くの新型兵器が公開されました。

池上 これ見よがしにお披露目されていましたね。米国でバイデン新大統領の体制が発足する前に、自らの軍事力を誇示したいという狙いは明らかでした。

佐藤 トランプ時代の米国は良くも悪くも内向きでしたので、対中国、対北朝鮮関係は例外的に安定していました。

しかし、バイデン政権になって旧来の価値観に基づく外交が再開されると、南シナ海の群島や人工島の領有権を主張している中国との軍事的緊張はオバマ政権時代並みに高まるでしょうし、北朝鮮との関係も悪化するでしょう。東アジアで戦争を起こしかねない動きに対峙し、好戦的な空気に対抗する思想の価値が増していくはずです。

バイデン政権で米中の緊張が高まる?(photo by gettyimages)

池上 そうした明日をも知れない状況にあって、人々は何かに救いを求めずにはいられなくなっていくでしょう。そのときに、反戦平和、戦力の保持をめぐる問題も、左翼が議論を積み重ねてきた主要な論点となってきます。

佐藤 ええ。右翼にしても左翼にしても、思想や政治運動というものは、その時代時代に特有の社会構造に対する反作用として出てくるものです。

政治の腐敗や社会に対する不満が高まると、急進的で改革を叫ぶ左翼が活発になりますし、改革が行き詰まると漸進主義的で歴史に回帰する保守的な主張が増えてくることは、フランス革命をはじめとした歴史を見れば明らかです。

現在の世界で顕になっている社会の機能不全に対して、人々が左翼的な思想に再び注目し、左翼勢力が台頭する可能性は非常に高いと思っているのです。

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