約13年間のOL生活からフリーライターに転身、「どこでも働ける自由」を手に入れ、2020年からデンマーク・フィンランドを拠点に生活する小林香織さんの連載。

フィンランドには一定数の日本人が住んでおり、長期移住でもっとも多いと予想されるのが「現地人との国際結婚による移住」だ。現地に生計をサポートしてくれるパートナーがおり、居住ビザが取得しやすい。幸福度ランキング1位常連の高福祉国家でもあり「国際結婚してフィンランドに移住するのはラクな道」という声もあるという。

一方で実際にそのような環境にいる人々からは、ストレスやプレッシャーを感じているような様子も見受けられる。今回は、フィンランド人との国際結婚を機に移住した日本人女性のエミさんとサユリさん(いずれも30代、仮名)に移住後の悩みや現在の暮らしを聞いた。

リセットしてゼロの“私”とすべて持っている“夫”

ーーお二人の移住の経緯と現在のライフスタイルを教えてください。

エミさん:一時期、仕事で日本に滞在していたフィンランド人の夫と日本で出会い、交際を経て結婚しました。日本語が話せない夫は英語が通じない日本に住むのは難しいと、生まれたばかりの娘も一緒に数年前にフィンランドに移住しました。

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今は夫と娘との3人暮らしで、私は専業主婦、夫はフルタイムで働いています。コロナの影響も考慮して娘は保育園に入所させず、自宅で育てています。夫が「数年は自宅で子育てしていいよ」と言ってくれたので、当面は家事育児が中心になりそうです。それと平行して、夫に教えてもらいながらフィンランド語も学んでいます。

サユリさん:私は日本在住時から、わりとフィンランドに縁があって。友人経由でフィンランド人の夫と出会い、2010年頃に結婚してフィンランドに移り住みました。2014年〜2017年は夫の仕事の都合で中国に住んでいましたが、その後は再びフィンランドに戻りました。

今は7歳の長男、3歳の長女と夫との4人暮らしです。夫はフルタイムの会社員で、私もコロナ前まではフルタイムで仕事をしていたのですが、コロナの影響で一時解雇されてしまい……。今は、新しい仕事を得るために資格を取得できる職業訓練校に通っていて、育児と勉強を両立しています。

フィンランドの海辺で遊ぶサユリさんの長男と長女。一家は中国への移住をはさみ、約7年フィンランドに暮らしている 写真提供/サユリさん

ーーお二人ともご夫婦で相談し、納得したうえでフィンランドに移住されていると思いますが、実際に移住してみてどうでしたか?

エミさん:日本で当たり前にできたことができなくなる“無力さ”を感じました。行政の手続きも、言語面で不安だから夫に頼ってしまうし…...。慣れ親しんだ文化、親、友達、仕事など、すべて手放してこちらに来た私と何でも持っている夫。どうしても不公平感があるので、時々やりきれない気持ちを夫にぶつけてしまいます。

サユリさん:移住して最初の1〜2年が一番ツラかったです。エミさんと同じく、社会的ネットワークがゼロの状態で移住したので、気軽にグチを言える友達も家族もいないし、仕事も探さなきゃいけない。かたや夫は何も変わらない生活を送っていてイライラするし、運悪く周囲との人間関係で問題が生じると一気に気落ちしてしまう。移住当初は、そんな不安定な日々でした。