新垣結衣さんと星野源さんが5月に結婚を発表し、日本中がお祝いムードに包まれた。2人が共演したドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の恋ダンスだけでなく、2006年の「ガッキーのポッキーダンス」を思い出した人も、多いのではないだろうか。口角がきゅっと上がり、見る人を明るい気持ちにさせる笑顔と、独特な振付が印象的だった。新垣さんはこのCMをきっかけにブレイクし、翌年は三浦春馬さんと主演した映画『恋空』が大ヒット、以来一線で活躍してきた。

ポッキーダンスの振付家・香瑠鼓さんも、「慎吾ママのおはロック」「タケモトピアノ」「おどるポンポコリン」など、1300本もの作品に振付し、芸能界で生き抜いてきた。そのかたわら、障害者とのバリアフリーダンスを25年間、続けている。筆者もワークショップに参加したり、取材したり、香瑠鼓さんと親交があった。改めてポッキーダンスの思い出と、障害者とのかかわりから、「結衣ちゃん」に伝えたいメッセージを聞いた。

写真提供/オフィスルゥ
かおるこ 振付家、アーティスト。1957年、東京都生まれ、早稲田大学卒。
Wink「淋しい熱帯魚」、「慎吾ママのおはロック」、グリコ「ポッキー」(新垣結衣)、ピコ太郎「Love & Peace 音頭」等、手がけた振付は1300本以上。長野パラリンピック開会式(1998)、映画「嫌われ松子の一生」、「20世紀少年」など、イベント、舞台、映画などでも多数の実績を持つ。
一方で、1996年より障害のある人たちが参加する「バリアフリーワークショップ」を実施。声と身体を使った独自の即興メソッドを用いて、企業や地域コミュニティなどでも講義や研修を行い、東京大学教育学部にて2015年度前期非常勤講師を務めた。
公式サイト https://www.kaoruco.net/
 

「ポッキー持って手振り」浮かんだ

香瑠鼓さんの振付は、まねしたくなるポーズや、ユニークな手の動きに特徴がある。20年以上前に作られ、今も放映中のCM「タケモトピアノ」もそうだ。ガッキーのポッキーダンスも、手の動きがポイントだった。

「私は、曲を聴いて絵が見えてきます。結衣ちゃんがポッキーを持って、両手を胸の前で横に動かす振付が浮かびました。でも初めは、ストリート系の振付を頼まれたので、提案していませんでした。ストリート系は結衣ちゃんに合わないな、と思いましたが、お仕事なので、折衷案を考えていき、アシスタントと私とで、やれるだけやって特訓をしました。

2時間の練習が、全部で5〜7回ぐらいあったでしょうか。監督から好きなようにしてくださいと言われて、最後の2回は、本番の振付に変えて練習しました。結衣ちゃんは当時、ダンス経験があまりなかったようです。一生懸命に練習していました。結衣ちゃんは表情がいいから、結衣ちゃんのアップと手の振付が画面に映えると思いました。ポッキーを持って、ゴーゴーダンスのように縦に手を振ったり、横にゆらゆらしたり、幾何学模様を描く振付が、結衣ちゃんを見て浮かびました」

緊張も素直にさらけ出す

多い時は、1日に4本ものCM振付を手がけ、食べる時間がない、寝る時間がない日々があったという香瑠鼓さん。数多くの芸能人に出会う振付家にとって、10代のガッキーは、どんな印象だったのだろうか。

結衣ちゃんの、性格の良さが伝わってきました。私はWinkの『淋しい熱帯魚』を振り付けています。Winkはダンスが得意でなく、生放送で歌いながら踊るプレッシャーもあって、無表情で踊っていたんです。香取慎吾くんみたいに、もともとダンスをしている人はできて当たり前ですが…。Winkの一生懸命さが受けて、山田邦子さんが振付を真似して笑いをとり、あれほど知られるようになりました。

結衣ちゃんも、振付が覚えられなくて苦労していましたね。ダンスが得意でない人が、ちょっと難しい振付に挑戦することで、一生懸命さが際立ち、見る人に訴えかける。結衣ちゃんのポッキーも、そうした面があると思います」

ラッキィ池田さんと 写真提供/オフィスルゥ