男性の遺体から「赤ん坊」の死体が出てきた…昭和の日本を揺るがした猟奇事件の全貌

医師はなぜ赤ん坊を埋めたのか
穂積 昭雪 プロフィール

そのほか、某東大医学教授(注:東京タイムスの教授とは別の人物)は「私は解剖医(松木助手のこと)に同情する」とし「医学者にとっては死んでしまった人間は一種の物体である。異常な病気で死ねば詳しく研究したくなるのは医者の性である」「今回の事件はボロ布でも詰めたらいいのにわざわざ遺体標本を詰め込んだことにより結果的に怪奇性が増してしまったが、医学者の立場から見れば何でもないことである」と松木助手の考えを尊重するコメントを発表している。

だが、その一方、この医大教授は「生命を扱う以上は医者は人間として道徳的規範は守らないといけない」とも考えており「見知らぬ赤ん坊を縫い込むことは普通の感覚では残酷に見えてしまう。その配慮が足りていなかった」「遺族と葉内臓を貰うための正規の手続きは踏むべきであった」とコメントを残しており、あくまで公平な目でジャッジしていたことがわかる。

 

ホルマリンの中の嬰児

ここで、「第二の被害者」とも言うべき縫い込まれた嬰児たちについても触れておきたい。

埋め込まれた嬰児2人のうち、1人は身元が判明している。

母親は東京都墨田区の郵便局に勤める向田徹さん(仮名)の妻・涼子さん(仮名)で、涼子さんは出産のため1947年12月25日に入院。1月1日に出産の予定だったが、出産に耐えられず赤ん坊は死亡してしまった。死亡届は1月2日に役場に届けられ翌1月3日に葬儀となったのだが、その際、赤ん坊の遺体は病院から返してもらえなかったという。

家族や医者から「死産した子供の姿は見てはいけない」と言われていたためだといい、自分の子供がホルマリン漬けになっているとは、父母共に知らされていなかったようだ。

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