「幸せとは何か」を覆された経験

シスターと共に教会に寝泊まりし、フィリピンのさまざまな施設を訪れたが、私にとっては生涯忘れることの出来ない【幸せとは何か】を根底から覆された貴重な体験になった

物が豊かなはずの日本人が日常でなかなか歯を見せて笑わず、必要な物さえも満足に買うことができないスラムの親子があんなにも幸せそうな顔でニコニコと笑っているという現実が衝撃的で頭から離れなかった。だからこそ、もう一度フィリピンを訪れてみたいという想いが強かった。

子どもたちは元気いっぱい、いつもニコニコ人見知りなんて全くない雰囲気。写真提供/歩りえこ

フィリピン再訪では「国際学生リーダーシップシンポジウム」という国連経済社会局やフィリピン教育省、フィリピン国家警察が後援になっている、持続可能な発展を目指した青年リーダーの育成プロジェクトに申し込んだ。参加者自身が飛行機代・研修費を支払って参加し、終了後に各々が感じたことをレポート提出するプロジェクトだ。単なる旅行ではなく、学生時代に見たあの子供たちの幸せそうな表情の背景を少しでも知りたいという気持ちもあった。

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プログラムは毎日午前と午後に分けられて、合間にランチ休憩があった。好きなテーブルで自由に昼食を摂るシステムで隣の席に若い男の子がトレーを持って座って来た。

毎日昼食はブッフェ形式で好きなおかずを各自で盛り付けていく。写真提供/歩りえこ

「ハロー、僕ミゲル!日本人ですか?」飛び切り可愛い笑顔でクシャッと笑うと、ミゲル(仮名)は私を質問攻めにした。日本の生活、家族、仕事、恋人はいるのか、趣味、貯金額に至るまで……日本人なら初対面で絶対聞かないようなことを根掘り葉掘り聞いてくる。

30分休みなく質問攻めされ、答えるのに疲れてこう聞いてみた。「ミゲルは何歳なの?」明らかに学生なのは肌の艶ですぐ分かったが、ミゲルが自分のことを話す番にならないといつまでも私はランチが食べられない。

『僕は17歳。マニラから車で1時間の街に住む高校生だよ。将来は医者になりたいんだ』若っ。20歳位だと思っていたが、予想以上に若い。見るからに賢そうで、ハキハキと話す会話からも育ちの良さと知性が感じられる。その中に幼さが残るアライグマっぽいルックスが何とも可愛い。きっと学校一の人気者になるようなタイプで人を惹きつける雰囲気だ。

欧米・アジア・世界中から集まったプログラム参加者たち。写真提供/歩りえこ