ドラマ化もされた大ヒットエッセイ『ブラを捨て旅に出よう』の著者で旅作家の歩りえこさんによるFRaU web連載「世界94カ国で出会った男たち」(毎月2回更新)。世界一周している途中に出会った人や、各地の様子を綴っていただいています。

今回は、親切な人がとても多く、ポジティブな考え方を持つ人も多いというフィリピンでのお話。歩さんは「幸せのカタチ」を根底から覆されたそうで、どのような出来事があり、何を感じたのでしょうか。具体的なエピソードを綴っていただきました。

歩さんの今までの連載はこちら▶︎

明るく、優しく、温かい人ばかり

世界94カ国を旅した中で最も親切な人が多いと感じた国はフィリピンだ。現地で出会った人だけではなく、異国で出会ったフィリピン人たちも同じく優しくて温かい人ばかりだった。

中東イスラエルのエルサレムで熱中症になってしまった時は、たまたま通りがかったフィリピン人女性たちが介助して宿まで付き添って歩いてくれた。その他にも世界各地でフィリピン人と接する度に、初対面ということを忘れてしまうほど尋常じゃない神ホスピタリティと底抜けに明るいポジティブさに感動しきりだった。

フィリピンは親日国でもあり、日本人が大好きな人も多い。「日本人?」と聞かれて『イエス』と答えると殆どの人が、これでもかというほど口角が上がった笑顔で接してくれる

とにかく底抜けに明るいフィリピン人を見ているとこちらまで元気になってしまう。写真提供/歩りえこ

マニラ首都圏内にあるニノイ・アキノ国際空港を出るとムワっとした蒸し暑さに思わず嬉しくなった。「10年ぶりにやっと来れた……」バスターミナルに向かう途中、スニーカーからビーサンへと履き替える。短パンなどラフな服装やビーサンが当たり前なフィリピンではお洒落もメイクも必要ない。

日本人はマナーやTPO、時間に厳しいところがあるが、フィリピンでは南国特有のユルさがあり、待ち合わせに1時間ほど遅れても普通で時間や約束にはかなりルーズだったりする。そんな気質上、他人の粗を探すような殺伐とした雰囲気も一切なく、常に周囲へ気を使う生活が苦手な人にはおすすめの国だ。

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初めてフィリピンを訪れたのは大学3年生の頃。カトリック系の女子大だったので夏休みに大学のシスターたちと一緒に学位の一環としてフィリピンでのボランティア研修プログラムに2週間参加したが、当時衝撃的だったのはスモーキーマウンテン跡地と、その周辺の孤児院を訪れた時だ。

何らかの事情で両親を失った子供たち全員が眩いばかりに屈託のない笑顔で出迎えて歌を歌ってくれた。一点の曇りもないあんなにも美しい瞳を見たことがないというほどキラキラとしていて、過酷なはずの境遇にも関わらず子供たちの表情は明るく輝いて見えた

路上にはパンツを履いていないスラム在住の男の子が信じられないほど楽しそうにボールで遊んでおり、その子の家に行くと、これまたニコニコの笑顔で若いお母さんが出迎えてくれた。

仲良くなるとすぐにお家に招いてくれるフィリピン人たちの人懐っこさに感激。写真提供/歩りえこ