「香り」は見えない美容であり、ファッションでもある究極のラグジュアリー。美容ジャーナリスト・エッセイストの齋藤薫さんと、服飾史家でエッセイストの中野香織さんという、比類なき二人の豪華な初顔合わせ! 齋藤さんによる中野さんのインタビューで実現しました。

●お話を伺ったのは…
中野香織(なかの・かおり)
服飾史家・エッセイスト。母校の東京大学非常勤講師、英国ケンブリッジ大学客員研究員を経て服飾史家として研究・執筆・講演で活躍。2001年~2017年明治大学国際日本学部特任教授。現在、株式会社Kaori Nakano代表取締役として企業のアドバイザーを務めるほか、昭和女子大学客員教授。日本経済新聞、読売新聞ほか新聞・雑誌など連載多数、著書多数。

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匂いに対し、日本は西洋と
間逆のベクトルを持つ

ラグジュアリーそのものと言っていい“香り”。しかし“「日本の香り」とラグジュアリーの関係”については、今までほとんど語られてこなかった。そこで今回、香りの本質を知り尽くし、ラグジュアリーを科学する唯一無二の人、中野香織さんにお話を伺った。

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まず日本には資生堂の「禅」以降、“香水のハイブランド”があまり育っていないが、「だとすれば、西洋の香りを真似ようとしたからでしょう。逆に海外の香水が“日本的”を真似ても何かピンとこないように、日本の感性で西洋をなぞっても上手くいかない」。

日本は香りにおいて、西洋とは全く異なる習慣、独自の文化を守ってきたと言っていい。

「本来が日本には香りで自らをアピールするという概念はなく、むしろ自分1人で楽しむ文化を育んできました。匂い袋も自分のため。香を焚くのも、香木のふわふわと漂う焦点をぼかした匂いを味わうというふうに。言うまでもなく気候や風土の違いが非常に大きいわけです」

湿度の高い日本では香りが重く広がり易く、賦香率の高い香水は相性が良くないと言える。

「海外の香水ってエタノールで矢の如く遠くに飛ぶから、自分を外に外に主張する欧米人の気質と合うのです。逆に日本人は気質的にもお互いパーソナルテリトリーを脅かさずに香りを楽しみたい。だから背中で香らせる。例えば膝の裏や足首につけて、すれ違いざま、これは何? と振り向かせるような」