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マスコミ「記者クラブ」の信じがたい閉鎖性…米出身ジャーナリストが見たもの

だから、似たようなニュースばかり
マーティン・ファクラー プロフィール

日本銀行の広報部へ申請すると、「私どもではなく、記者クラブの許可を取ってください」と言われた。当時の幹事社だった日本経済新聞の担当記者に連絡を入れると、記者クラブ加盟社ではないという理由で断られた。

食い下がった私に対して、「福井総裁へ質問をしないのならばOK」と条件をつけられ、閉口するしかなかった。質疑応答に加わることなく、ただ傍聴しているだけの記者会見にいったい、何の意味があるのだろう。日本銀行の広報に再び問い合わせたが状況は変わらず、結局、私は記者会見への出席を諦めた。

日銀の福井俊彦元総裁[Photo by gettyimages]
 

外国人記者だけではなく、日本人の雑誌やネットメディア、小さい地方紙、フリーランスなどの記者たちはみな経験していることである。ただ、私の取材手法は日本のメディアでは主流の権力者からの情報を元にしたものではなく、調査報道が基本だ。記者クラブから締め出されても特に困ることもなかった。

念のために言うと、アメリカにも記者クラブのようなものは存在する。一番似ている組織は、大統領を取材するホワイトハウス記者協会。1914年に設立され、記者会見室の席順も演台に向かって一列目は左からNBC、FOXニュース、CBSニュース、AP通信、ABCニュース、ロイター、CNNの記者が座ることがあらかじめ決められている。

とはいえ、ホワイトハウスの広報官にすべてコントロールされるようになったメディアは、批判的な視線を向けられ「バブルに入っている」と揶揄される。

バブルとは空間を意味していて、ひとつの空間のなかでテレビ局は同じ内容のニュースを報じ、通信社や新聞社は同じニュアンスの記事を書く。メディアのアイデンティティも何も存在しない状態は、残念ながら視聴者や読者に価値を届けられない。

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