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西田 宗千佳 プロフィール

「デバイス内処理」を増やした理由

アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギ氏は、基調講演の中で「プライバシー保護は基本的人権の一つであるとアップルは信じている」と強調した。たしかに、ユーザー自身が希望しないかたちで個人情報が使われるのは望ましいことではなく、可能なかぎり保護することが必要だ。

【写真】「プライバシー保護は基本的人権の一つであるとアップルは信じている」と明言アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギ氏は、「プライバシー保護は基本的人権の一つであるとアップルは信じている」と明言した

だが、AIなどを活用する場合、ユーザーの行動データや所有する画像データを利用するのは必要不可欠であり、プライバシー問題と抵触しやすい。

アップルは今回、各種のAI処理を可能なかぎり「デバイス内でおこなう」よう舵を切ってきた。Siriの音声認識が原則オフライン化されたのも、そのためだ。

健康関連データの把握も、可能なものはデバイス内だけで処理され、データは暗号化される。医師や家族など、ユーザー自身が許可した人とは共有されるが、そうでない場合には、アップルですら暗号化された中身を見ることはできない。

アップル標準のネットサービスである「iCloud」の有料プランは「iCloud+」へと名称が変わり、よりプライバシーを重視したものになる。ネットを利用する際にIPアドレスなどを隠し、広告事業者などに履歴を追跡されづらくする「Private Relay」や、企業等に登録する際に匿名メールを提供する「Hide My Email」などを、従来と同じ金額のまま、追加サービスとして提供する。

【写真】iCloudの有料プランiCloudの有料プランは「iCloud+」となり、追加のプライバシー保護機能を搭載。しかし、価格はそのまま据え置かれている

このように、徹底したプライバシー重視の姿勢を貫くことができるのは、アップルが広告では収益を得ておらず、ハードウエアとその上で生まれるサービスから収益を上げているからでもある。

だが、「安心を売る」ことがそのまま他社との差別化要因となっており、最善の戦略であるとアップル自身が考えている証でもあるのだ。

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