「WWDC詳細」速報!アップル最新OS「進化の方向性」を読み解く

コロナに学んだiPhone「次の形」
西田 宗千佳 プロフィール

日本語対応が望まれる新機能

次の大きな変化が「AI処理」だ。

といっても、すぐにはピンと来ない人が多いかもしれない。しかし、今回のアップデートでは、従来以上にこの点での変化が大きいのだ。

アップルは長年、音声アシスタントとして「Siri」を使っている。お馴染みのこの「Siri」が、秋の新OS以降、原則として「オフライン処理」へと移行するのだ。まったくネットに接続しないというわけではないが、基本的には各デバイスの中だけで音声認識や応答処理をおこなうため、動作がより迅速になる。

【写真】音声アシスタントの「Siri」各デバイス内でオフライン処理するようになる音声アシスタントの「Siri」は、基本的にデータをクラウドへは送らず、「各デバイス内」で「オフライン処理」するようになる

カメラや「写真」アプリなどでは、画像認識が強化される。

たとえば、電話番号の書かれた看板や、掲示板のメモなどを撮影して、後でその情報を活用する場合には、「写っている文字を自分でタイプし直して使う」ことがほとんどではないだろうか。だが、iOS 15やiPadOS 15、新しいmacOSである「Monterey」では、写真をAIが認識し、画像ではなく「文字の情報」として扱えるようにしてくれる。

この機能を「Live Text」とよぶ。要するに、画像からタイプすることなく直接電話をかけたり、印刷されているURLからウェブに飛んだり、文字情報をコピーして別の文書で使用したりできるわけだ。

ただし、残念ながらこの機能は、現状では日本語に対応していない。日本で使用する場合には、Live Textが認識してくれるのは数字や英単語だけということになる。可能なかぎり早く対応してもらいたいものだ。

【写真】「Live Text」画像内の文字を認識し、そのまま扱えるようにする「Live Text」
【写真】日本語に未対応いただし……、残念ながら現時点では、日本語に対応していない

「進化の方向性」を示すもの

もっと細かな新機能もある。

スマホには通常、多数の「通知」が届くが、iOS 15では、この通知に「サマリー表示」が登場する。ユーザーが見ていないときの通知をAIが整理し、まとめて表示してくれるのだ。

【写真】AIがサマリーしてくれるようになったユーザーがチェックしていないあいだの通知を、AIがサマリーしてくれるようになった

そのような配慮がなぜ必要なのかといえば、時間をできるだけ有効に使うためだ。

そして、そのための機能として「集中モード」も用意されている。集中モードはその名のとおり、「今はこれをする」と目的を決めて、通知や通話の着信などをコントロールするものだ。

【写真】「集中モード」「集中モード」で、通知や通話などによる中断を防ぎ、時間を有効活用する

すでに現在のiOSにも、睡眠を妨げないための「おやすみモード」が備わっている。おやすみモードでは、夜間に特定の人からの通話やメッセージの着信だけに絞ったり、あるいは何回もかかってくる電話などでは音や振動を鳴らさない、という使い方ができる。

集中モードはその拡張版といえるもので、「仕事をしているとき」「ゲームをしているとき」「映画を見ているとき」などのシチュエーションに合わせて、ユーザー自身が通知・振動のあり方を変えられるようにするものだ。

たとえば、仕事に集中したいときには「仕事」モードにし、上司や家族からの緊急連絡以外は受け付けないようにしたり、「ゲーム」モードではゲーム関連の友人は着信する一方、仕事関連の連絡はシャットアウトしたりするなど、細かな制御が可能になった。そういう設定はえてして面倒なものだが、ここでAIが登場し、最初に「この種のアプリや通知先が望ましい」とお勧めしてくれたりするのだ。

また、歩行時の振動などから「左右の足で均等に歩いていて、転倒の危険がないか」を判断し、転倒しやすい歩き方になってきたら警告を発する……、といったこともできる。これもまた、AIの力による。

【写真】「転倒の危険性」などを判断iPhoneをもって歩くときの振動から、「転倒の危険性」などを判断してくれる

今回導入された機能の一つひとつは、他のプラットフォームやアプリでもおこなわれているものが多い。しかし、OSの中で統合的に機能を用意し、スマホやタブレットの使用をより便利になるように工夫を施しているのが、今年のアップルが打ち出してきた「OSの進化の方向性」の1つといえるだろう。

そして、そのような方向を志向する際に大きなウエイトを占めるのが「プライバシー」の問題だ。

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