社会復帰を助けてくれた雇用促進プログラム

清水さんは職場復帰から2年後、38歳のときに第二・三子となる双子を出産。再び育休期間に入ることに。当初は2年間の育休を取得するつもりだったが、育休取得中に職場の契約が満期を迎え、職を失ってしまった。結果的に、清水さんは3年間にわたり専業主婦として過ごしたそうだ。

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「戻る職場がなくなってしまったのは不運だったかもしれませんが、私自身は子どもと長く一緒にいられてよかったと思っています。実は長男を出産した後、まだ歩けない、しゃべれない1歳になりたての頃に保育園に預けたことを申し訳なく思ってしまって。だから、人生で最後の育休を思う存分取ることができたなって」

子どもたちとの時間をゆっくりと過ごせたことに満足している一方で、社会復帰への不安を抱えていたと清水さんはいう。

「この3年で白紙になったキャリアを、どう再構築していけばいいのか。そんな不安にかられ、実際、半年間の就職活動を経ても仕事が決まりませんでした。ですが、大卒以上の失業者を対象にした社会復帰を支援するフィンランドの制度を利用して、41歳のときにフルタイムでの再就職を果たすことができたんです」

2017年の投資家とスタートアップのマッチメーキングイベントにて。「毎日が新しい発見ばかりで良い刺激を受けている」と清水さん 画像/清水さん提供

清水さんが利用したのは、F.E.C.(Further Educated with Companies)と呼ばれる雇用促進プログラム。これは、学生インターンのように無報酬で企業に雇用されながら、その間は政府からの失業手当を受け取れる支援制度だ。スキルアップ講座の受講も無料で、利用者の70%以上が雇用契約を得ているという(※2)。

清水さんはこのF.E.C.を利用して、半年間働いた後、契約社員の期間を経て、正社員として雇用された。それが、現在の職場である「Enter Espoo」(エンター・エスポー)だ。同社は、イノベーション都市として知られるエスポー市が運営する行政機関であり、イノベーション部門と観光部門が存在する。

清水さんはイノベーション部門に所属し、シニアビジネスアドバイザーを務める。外国企業の誘致や技術スカウティングなど現地企業とのマッチングが主な業務で、コロナ禍の現在は各国の大企業と現地のスタートアップをつなげるオンラインプロジェクトが進行中だという。

「イノベーションのイの字も知らない文系人間だったのですが、北欧の価値観やサスティナブルな技術を世界に広められることに大きなやりがいを感じています」

※2 https://www.infofinland.fi/en/living-in-finland/education/child-education/day-care