約13年間のOL生活からフリーライターに転身、「どこでも働ける自由」を手に入れ、2020年からデンマーク・フィンランドを拠点に生活する小林香織さんの連載。

出産・育児によるキャリア中断は、多くの女性にとって人生の悩みのタネになりえる。特に仕事が波に乗りおもしろく感じていれば、「タイミングを逃したくない」という思いが生まれるかもしれない。「復帰後に再びキャリアアップできるのか」も女性が抱えやすい不安要素だ。

2001年、フィンランドへの留学を機に本格的に現地へ移住した清水眞弓(しみず・まゆみ)さん(47歳)は、35歳で第一子を、38歳で第二・三子となる双子を出産し、3年間の専業主婦期間を経て、41歳のときに現地企業への再就職を果たした。

育児休暇期間を除き、専業主婦はほとんどいないというフィンランドでは、子育てする保護者を支える国の制度や社会の風潮があるという。子育てとも両立しやすい現地の働きやすさを日々感じているという清水さんに、出産・育児期間を含む現地でのキャリア構築を聞いた。

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長い学生期間を経て33歳で就職、35歳で初出産

国際的な仕事に憧れていた清水さんが、初めてフィンランドを訪れたのは高校1年生のとき。交換留学制度を利用した1年間の留学だった。日本とはまったく異なるカルチャーに刺激を受けた清水さんは、帰国後、日本の大学に進学し、小売関係の日本企業に就職するも、現地での生活が忘れられなかったそうだ。

「日本の大学入試や社会人生活になじめなかったこともあり、ずっとフィンランドに戻りたいと思っていました。あるときフィンランド人の友人にその話をしたら、『フィンランドの大学に留学してみたら?』と。その言葉に背中を押されて退職し、2度目の大学生生活を送ることに決めました」

トータル8年近い学生生活を送り、清水さんは現地で就職するためのスキルを身に付けた 画像/清水さん提供

清水さんは27歳でヘルシンキ大学に入学、人文学部を専攻し、フィンランド語や現地の文学を学んだ。その後、30歳で同じくフィンランドにあるハーガ・ヘリア応用科学大学に入学、ビジネス全般の知識を得た。2つ目の大学に入学したのは、就職に直結する専門的なスキルを身に付けるためだった。

「誰もがフィンランド語を話せるこの国で、文学の修士は専門スキルとはみなされなかったんです。考えが甘かったですね。当時、フィンランドの大学の学費は外国人も無料でしたし、就職するために学生生活を続けることにしました」

清水さんは2つ目の大学在学中にインターンを経て、とある研究機関の契約社員となった。そして2年後、大学を卒業するとすぐに長男を出産した。

「就職してまだ2年ほどでしたが、当時の私は35歳。在学中から一緒に暮らしていた事実婚のパートナーがいて、『働くお母さんになりたい』という思いもあり、このタイミングでの出産となりました」

フィンランドでは、多くの女性が1年ほどの育児休暇を取得し職場復帰することから、清水さんも1年間の育休を取り、その後、フルタイムで職場復帰した。フィンランドでは就学前の子どもを持つ保護者の職場復帰や就職、就学が決まると、各自治体が2週間以内に受け入れ可能な保育園(デイケア)を確保する仕組みになっているという(※1)。希望する保育園に入れるとは限らないが、保育園の施設数・定員数には余裕があり、待機児童の問題は聞かれないそうだ。

※1 https://www.infofinland.fi/en/living-in-finland/education/child-education/day-care