文系のあなたにこそ知ってほしい、未来を生き延びるための数学独習法

解けなくてもいい、覚えなくてもいい
冨島 佑允 プロフィール

数学思考をインストール

勉強嫌いな子供から「数学なんて勉強して何の役に立つの?」と聞かれたときには、そっと本書を勉強机に置いてあげて下さい。きっと数日後には、数学好きに変わっていることでしょう。

幸いなことに、大人になってからは公式集や期末テストに追われる心配はありません(筆者は今でも期末テストに追われる夢をたまに見ますが……)。暗記やテストの負荷を逃れて、数学を大枠から眺めれば、その正体が見えやすくなります。

本書を一言で形容するならば、読むだけで理系の考えをインストールできる「未来を生き延びるための数学の見取り図」です。皆さんの頭脳には、文系のソフトウェアが既にインストールされていると思います。本書を読むことで、理系のソフトウェアもインストールしましょう。そうすれば世界観が広がり、2つのソフトウェアの相乗効果によって、今までにない発想が生まれてきます。

数学的アイデアの引き出しが広がるだけで新しいビジネスの立ち上げや、既存ビジネスの効率化を考えるとき「こういう数学が使えるのでは?」というヒラメキにつながり、理系の社員に相談したり、専門知識を有するIT企業に連絡を取ったりして、形にしていくことができます。

数学的リテラシーはビジネスで役立つ(Photo by iStock)

仕事は協力しながらやるものですから自分が細かい計算までマスターする必要はありません。それに、人間の手に負えない複雑な計算はコンピューターがやってくれます。引き出しを多くして、ヒラメキの可能性を高めることが重要なのです。

また、業務改善や業績向上を狙ってAIやビッグデータ分析を取り入れる企業が増えていますから、そういった提案にもつながるかもしれません。数学がビジネスへどのように応用されているかの前例が頭に入っていれば発想のバリエーションはぐんと高まるでしょう。

 

数学は文明の賜物。使わなければもったいない!

本書は高度な数学を俯瞰的に眺めることで、数学的な思考のエッセンスをアレルギーなしにお伝えします。

そのため——

1. キーとなる専門用語は詳しく解説し、
2. 難しい数式や公式も計算も徹底的に減らし、
3. 数学各分野の背景にあるニーズと使い道を説明する

——ということに意を尽くしました。

各章を紐解けば、数学が現代文明の隅々までいきわたり社会を支えていることに気付くでしょう。

著者は大学・大学院で物理学を専攻し、大学院時代は欧州原子核研究機構(CERN)で素粒子物理学の数理解析に携わっていました。現在は数学を駆使して金融市場を分析するクオンツという仕事に就いています。

数学を武器にビジネスキャリアを築いてきたので、その有用さは誰よりも実感しているつもりです。本書が数学へ近づくためのきっかけとなり、ビジネスへの応用のヒントとなれば、それに勝る幸いはありません。

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