文系のあなたにこそ知ってほしい、未来を生き延びるための数学独習法

解けなくてもいい、覚えなくてもいい
冨島 佑允 プロフィール

必要なのは全体感の理解

今や、数学に関する基礎的な理解は「一般常識」として身に付けるべきものとなりました。数学を理解せずして現代社会を理解することは不可能なのです。そう言うと学生時代の苦い記憶が蘇って尻込みするかもしれませんが心配は無用です。

ビジネスパーソンに求められているのは複雑な方程式を解く力でもなく、計算能力でもありません。必要なのは全体感の理解です。

そもそも、世の中を知るために必要な教養や一般常識とは、ある分野に対するざっくりした理解のことを指します。例えば私たちの多くは文学や政治学の専門家ではありません。けれども、歴代の文豪や政治家の名前、どういうことをやった人かは大まかに知っています。マナー講師でなくても最低限のマナーは知っています。数学もそういった一般常識の仲間入りをしているのです。

方程式を解いたり数理モデルを作ったりといったことは得意な人たちに任せておけば問題ありません。しかし、数学の全体像や発想方法にすら不案内なままではこれからのAI時代に乗り遅れてしまうし、ビジネスチャンスを逃すことになりかねません。

とは言え、「どんな分野で」「どのように」「数学の何が」必要になるのかが正直分かりにくいと感じる方が多いのではないでしょうか。そこで本書では、これからの時代に特に重要視され学んでおきたい数学に焦点を絞り解説しました。数学とは何か、どう考えるのか、何の役に立つのかという「数学の俯瞰図」を頭の中に作り上げることが本書の目的です。

数学の俯瞰図を頭に入れることには、たくさんのメリットがあります。例えば、AI、機械学習、自動運転などの最近の話題を理解するのに役立ちます。勉強嫌いな子供から「数学なんて何の役に立つの?」と聞かれたときに、戸惑わずに答えることができます。

上司にビジネスの企画を提案するとき、会社や業界の状況を分析するとき、AIや機械学習を仕事へ応用したいとき、数学の全体感をつかんでおくだけでアイデアの引き出しが広がります。数学的=理系的な思考の重要性は、今後ますます高まっていくことに疑いの余地はありません。

 

なぜ数学で挫折する人が多いのか

数学的=理系的な思考の要点は、余計なものを切り捨てて本質を浮かびあがらせる「シンプル・イズ・ベスト」にあります。その発想法は実はとてもビジネス的で戦略コンサルタントなど文系的な職業の思考法と多くの共通点があるのです。けれども、学校ではそのことを教えてくれないので、数学はつかみどころのない抽象的な学問だと思われているのが現状です。

数学=難しい?(Photo by iStock)

そもそも、中学・高校のころに受けた数学の授業では、「公式を覚えて正確に解く」ことが何よりも重視されていました。結果として、全体像が見えない中、何に役立つかも分からない公式を覚えさせられ、疑問だらけのまま取り残されてしまう生徒が後を絶ちません。

数学という巨大な知識体系の中で、自分は今どこを学んでいるのか? それが何の役に立つのか? そのイメージがつかめていれば、挫折する人はずっと少なかったことでしょう。

関連記事