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「SDGsの“夢”に敗れて…」 地検特捜に狙われたテクノシステム事件の「全貌」

SBISLに業務停止命令

金融庁は、6月8日、SBIソーシャルレンディング(SBISL)に業務停止命令を出した。同社は、再生エネルギー会社のテクノシステム(横浜市)に、ネット経由で集めた投資家の資金を貸し付けていたが、テクノ社は募集時の資金使途とは違う用途に流用、金融庁は金融商品取引法違反と断定した。

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既に、東京地検特捜部は、4月末までにテクノ社と関連先を家宅捜索、5月27日、同社の生田尚之社長(47)を、融資詐欺の疑いで逮捕している。現在、詰めの捜査を行なっており、6月16日の勾留期限までに、別ルートの融資詐欺事件や政界ルートを見据えた事件に伸ばすか、あるいは起訴して事件を一度、中断するかを決める。

テクノ社事件は、特捜案件になったことと、小泉純一郎元首相を広告塔に使っていたことで話題を集めたが、それに加えソーシャルレンディング(SL)という金融形態に、事実上の“引導”を渡す結果にもつながった。

SLは、業者がプラットフォーム上に太陽光発電、不動産開発などの事業を開示、10%内外の利回りを謳うもの。数万円から投資可能ということで投資家の人気を集め、ブームとなった17年には業者が乱立、1年間で1300億円を集めた。

しかし、高利を約束し、それだけの金利を払って事業を成し遂げ、売却するか金融機関の融資に切り替えられる案件は多くない。SBISLの前にも、みんなのクレジット、ラッキーバンク、エーアイトラストといったSL業者が金融庁の行政処分を受けて退場。

18年7月、SLを最初に立ち上げた業界最大手のmaneoマーケットも業務改善命令を受け、SLという金融業の最後の“拠り所”となったのが、SBIホールディングスの信用力をもとにしたSBISLだった。

だが、5月24日、SBISLはテクノ事件を受けてSLからの撤退を表明。約150億円の特別損失を計上して、投資家への未償還元本の償還など残務整理に入っている。

業務停止命令はダメ出しともいえるもの。事件化以降、SBISLはもちろんSL業界にも甚大な影響を与えた生田容疑者は、無節操な事業展開、高級クラブでの豪遊、海外カジノでの蕩尽などが報じられ、「詐欺会社のとんでもない経営者」と、批判されている。

だが、生田容疑者を会社立ち上げの頃から知る経営者は、「水処理から始めて食に行き、エネルギー分野に進出してSDGsに行き着くまでは目の付け所が良かった」という。

「発明家で事業家の父親の後を継ぐつもりで学生時代から各種資格を取るなど“頑張り屋”だった。詐欺事件を起こして、『SDGsはカッコだけ』と批判されるが、本人は真面目に取り組んでいた。問題は太陽光などを始めて急成長、いろんな人間が寄ってきて制御しきれなかった。それも本人の経営者としての能力不足ではあるけど、会社にいい人材を集められず、SBIなどに利用された」(同)

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