「日本の女性の賃金は男性の半分ちょっと」というデータの出典はおそらく、国税庁の「民間給与実態統計調査」である。この調査は、徴税の基礎資料とする調査目的から、就業形態や時間の長短にかかわらず広い範囲の給与所得を把握していることが特徴だ(公務労働者は除かれている)。分かりやすく言うと、アルバイト・パート・派遣といった非正規労働者も、大企業の正社員も、等しく「1人の賃金」としてカウントしている。

総務省「労働力調査」の2020年平均結果によれば、女性の非正規率は54.4%、男性の非正規率は22.2%で、圧倒的に女性のほうが多く非正規雇用で働いている。少なくないアルバイト・パート雇用が最低賃金に近い時給だ。そうした就業構造の違いが、男女間の大きな賃金格差となって指数にあらわれている。

ただし、正規・非正規間の格差は男女の賃金格差を説明する一側面に過ぎない。日本の男女賃金格差のもう一つの側面は、「正規・正規間の格差」だ。

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女性はフルタイムで働いても男性の3/4の賃金

それを知るための統計調査が、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(通称「賃金センサス」)である。2020年の賃金センサスによれば、「一般労働者」(1カ月以上の期間で雇用されているフルタイム労働者)の月の賃金は、男性33.88万円(年齢43.8歳、勤続13.4年)、女性25.19万円(年齢42歳、勤続9.3年)である。男性を100とした場合の女性の賃金は74.4で、25.6%の賃金格差がある。つまり、女性は週5日フルタイムで働いていても男性の3/4の賃金しかもらっていない

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これは全年齢の平均賃金であることに注意が必要だ。初任給は男女でそう変わらないが、年齢ごとの賃金カーブを見ると格差はより露骨になる。50代後半で昇給を止めたり管理職から下ろしたりする企業が多いため、男女ともに賃金が最も高くなるのは50代半ば。賃金センサスにおけるピーク時の賃金を比較すると、男性が50代後半の42.01万円、女性が50代前半の27.47万円だ。男性の賃金を100とした場合、女性は65.4である。ボーナスを含めた年収のピークは男女ともに50代前半で、男性651.6万円、女性404.4万円となる。女性は人生で最も賃金が高い年齢のとき、同年代の男性労働者の6割しか支払われていないのだ。

この賃金格差は、退職時の基本給×一定率(勤続年数など)で計算されることが多い退職金にそのまま反映され、さらに在職時の賃金×被保険者期間で算出される厚生年金の受給額にも影響する。2019年度末時点で、会社員が老後に受け取る厚生年金(第1号)の平均月額は男性が164,770円であるのに対し、女性は103,159円で、男性の62.6%にとどまっている(厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。仕事を引退しても、一生を終えるまで男女の賃金格差はこのように作用し続ける。