「トランスジェンダーは個性」という言葉に、当事者の私が「苦い気持ち」になるワケ

「みんなちがって、みんないい」?
遠藤 まめた プロフィール

ある日、生徒指導の先生に立ち読みを発見されたごっちゃんは「胸に手をあてて自分がしていることを考えなさい」と叱られてしまいました。

「制服を着ているということは明治時代にはじまった伝統ある女子校の看板を背負っているのと同じなんですからね」。

表紙には、くちびるがぷるぷるのグラビアタレントの写真が載っていて、ごっちゃんをまっすぐに見つめています。

胸に手をあてたごっちゃんは雑誌の定期購入を決め、それからは「伝統校の看板」を背負いながらグラビア雑誌を定期購読する不思議な生徒になりました。この一連のエピソードはみんなを爆笑させ、ごっちゃんの個性的なマンガも人気でした。

 

やっかいな個性

他にも、個性的な友人がいました。ロッカーが全部マンガで貸本屋みたいになっていた友人は、ボーイズラブ(BL)の良さを布教してまわっていたことから「教祖」と呼ばれ、尊敬されていました。

そのような個性なら全然、個性って素晴らしいと思えたのです。

でも、別に好きこのんで選びとったわけでもない、自分の人生をややこしくすること間違いなしのトランスジェンダーであることについて個性と呼ばれるのは、気が気ではありませんでした。多数派として生まれていたら、なにも努力せずに、普通にズボン制服で毎日生活できたことでしょう。「胸のある自分の身体が気持ち悪い」と悩むことなく、性別についてなにも意識せずに暮らせる毎日だったことでしょう。ああ、そうであったなら、どれだけ楽だったことか……!

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