「オタク」になりたい若者たち。倍速でも映画やドラマの「本数をこなす」理由

生存戦略としての倍速試聴
稲田 豊史 プロフィール

メジャーに属せない不安

「現役大学生と話していても感じますが、多くの子が“個性的でなければ就活で戦えない”と思っています。本来は、その人がその人であるだけで立派な個性なのに、“無理して個性を作らなければいけない”と焦っている」(森永氏)

森永氏はその理由を、「カルチャーシーンから“メジャー”が消えてしまったから」だと分析する。

「昔は、仮に自分が無個性・普通ではあっても、『クラスの大体の女の子が好き、クラスの大体の男の子が好き』なものがあって、それさえ押さえていれば、圧倒的多数のメジャーに属しているという安心感を持てました。たとえば光GENJI、安室奈美恵、浜崎あゆみなどですね。

けれど、今はそれがない。趣味も嗜好も多種多様。“普通”が失われてしまったんです。結果、無個性だとどこにも属せず、とても不安を感じるんです。その不安に駆られて、無理をしてでも“趣味を持たなきゃ”、“好きなことを見つけて打ち込まなきゃ”と焦る」(森永氏)

 

本来、趣味も好きなこともやりたいことも、自然に湧き上がってくるのを待てばいいはずだが、彼らは悠長にそれを待つことができない。なぜなら、インターネット、特にSNSからは、すでに名前や顔が売れている同世代のインフルエンサーたちによる“キラキラした個性的なふるまい”が、嫌でも目に入ってくるからだ。

学生のうちからPVを稼ぎまくるブロガー。イラストに「いいね!」がつきまくるアマチュア絵師。博識を極めた結果、崇められるガチオタ。キラキラした交友関係を誇示する学生起業家……そんな“個性的”な彼らと“無個性”な自分を比べ、焦らないはずがない。もし筆者がいま大学生だったら、きっと同じように焦るだろう。

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