要介護1と要介護2の井戸端会議

そのころ、義母は要介護1で、週1回ヘルパーさんに来てもらっていた。母については、同居してすぐにケアマネジャーに相談し、とんとんと介護認定が進んだ。認知症の程度と身体の状態から実家にいたときと同じく要介護2となり、平日は短時間でほぼ毎日、デイサービスに通うことになった。
母は元来人懐こい性格だった。だれかと様々な話題を語り合うのが大好きだった。デイサービスでほかの人たちに会っておしゃべりしたり、体を動かしたりするのは性に合っていたらしい。隣り合った人に話しかけたり、人の輪に入れずにいる利用者がいると、自分のグループにいざなったりしていたようだ。

ただ困ったことに、母の頭の中では昼夜逆転が始まっていた。夜、眠りについてから目覚めると、夜中だろうがなんだろうが、朝だと思いこんでしまう。すると母用に借りていた折りたたみベッドから布団を下ろし、ベッドをたたもうとする。力が足りないから、バッタンバッタンと無駄に音を立て、ベッドと格闘するのだ。当然、この物音は階下にも聞こえていた。私たちが起き出して母をなだめているとき、目覚めてしまった義母が上に上がってくることもあった。不満そうにやってきて「なにがあったの」と聞く。しかし、暴れているのが母だとわかると、言葉を飲み込んで戻っていく。このやりとりが、週に何度もあるのだった。義母はいつまで我慢するだろう、と内心ヒヤヒヤしていた。

太陽が昇る時間かどうかよりも、目覚めた時が朝。そんな実母にも振り回されていた(写真の人物は本文と関係ありません)Photo by iStock
-AD-

母はデイサービスから戻ると、いったん2階に上がってテレビを見始めるのが常だった。しかし、しばらくすると飽きてしまう。そして階段を不器用に降りて、義母トミ子の部屋を訪れた。そして夕食ができるまで、話し込んでいる。
母と義母がどんな話をしているのか、ちょっと聞き耳を立ててみたことがある。もちろん、特に建設的な内容があるわけではなく、テレビに出てくる人物たちを評論していることが多かった。噛み合っているような、噛み合っていないような、でもお互いの発言は否定しない。ちょっとシュールな会話だった。