「助けて」と言える人は助けることができる

もうひとつ、レジリエンスの要素を挙げよう。
それは、「助けて」と言える能力だ。子どもが「やって~」「助けて~」と言ってくると、「自分でやりなさい!」と怒りがちだ。わが家では第一子の長男がそういうタイプだったので「依頼心が強い子だねえ」と私も夫もよく怒っていた。

しかし、子どもがピンチを跳ね返すには、時として周りの誰かにヘルプを求めたり、相談することも大切だ。SОSを発信できる。発信できる人を見つけておく。それらもレジリエンスという力なのだ。このことを数年前に心理の専門家から聞き、私は態度を改めた。「いつでも助けるよ。相談してね」と告げ、思春期だった子どもらに「気味悪っ」と警戒されたけど。

就職したばかりの長男はある日、新人研修の演習で何かにつまずき遅れている同僚を発見した。気づかないのか、自分のことで精一杯なのか、みんなはどんどん先に進んでいく。長男は思わず「大丈夫?」とチャットを送り、一緒にトラブルを解決したそうだ。「以前自分も他のヤツに助けてくれ~って言って教えてもらったから」と話していた。些細な話ではあるが、助けてもらえたら、自分も助けようと思うのだ。

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大坂選手の話に戻ろう。
プロテニス界はツアーがあるからこそ大坂も60億円も稼げる。試合後の会見はそのツアーに参加する選手に課せられた義務なのだから受けるべきだ、アスリートの心の健康状態が無視されていると会見を拒否するのは理解できないとの声は少なくない。
「答えたくない質問には答えなければいい」「司会者に頼んで質問はテニスに関すること以外受け付けないようにすればいい」と言うが、それができない、やりたくない選手もいる。

私の勝手な憶測だが、助けてと言えた大坂選手は、助けたいとも考えているのではないか。だからこそ、Twitterで問題提起した。
今回うつを明かしたことで、さらにレジリエンスを磨く起点にしてほしい。

こうして議論になり、互いの理解が深まったのも、大坂なおみ選手の発信がきっかけだ。私たちもそれをきっかけに理解を深め、自分たちを振り返る機会にしたい Photo by Getty Images