「あと3人抜かせば五輪に行けるかも」

しっかり食べて、しっかり動く。基本的なことだが、その基本を見つめ直すことで理恵さんのスタイルの基盤が確立した。ミスが少なく、安定した演技が採点競技で必要とされている中、ブレない身体作りが彼女の強さとなる。

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「大学3年生のときに北京オリンピックの予選会に出場しました。この時は五輪を目指しているわけではなく、高得点をとるよりも楽しくやりたかったんですが、個人総合で8番。当時はオリンピックに上位5人行けたんです。あと3人抜かせば私オリンピックにいけるやんって。まだ私は大学3年生、10代が活躍する選手の中心年齢である体操の世界でいえば『もう』大学3年生なんですが、高校3年間休んでしっかり身体を休めているからケガも一人少なくて。そこから4年後のオリンピックを目指そうって。その翌日から一人で体操場に行って、2008年北京五輪、2009年世界選手権、2012年ロンドンオリンピック、この4年間を1年ずつどう乗り越えていこうという年間計画を紙に書いて、そこから人が変わりましたね。

朝はちゃんと何時に起きて、何時に学校行って、お昼のトレーニングはどこを鍛えているかを認識しながらトレーニングをしていました。捨て身の覚悟で挑むようになりました」

2010年アジア競技大会団体戦で銀メダルをとった日本チーム。田中理恵さんは個人総合でも銅メダル、跳馬で銀メダルを勝ち取った Photo by Getty Images

理恵さんは高校3年間を「暗黒時代」と表現した。しかし、父からは常に「体操人生を長く見て楽しめればいいじゃん。考えすぎじゃないか」と言われていたという。当時は父の言葉も心に響かなかったが、「暗黒の3年間」を過ごしたからこそ、「体操が好き、という原点に戻ることができたのだ。