2021.06.12

挫折があっても大丈夫!ロールモデルを見つけて道を拓いて…理系女性の人生設計ガイド

女性の社会進出が進み、理系女性の活躍の場が増えている今の時代でも、まだ男女が同じ状況で同じように受け止められない場合もあります。やはり理系女性にはどんなことが起こりうるのか、知っておくことは大切です。

いろいろな分野のさまざまな立場で活躍する理系女性を取り上げた『理系女性の人生設計ガイド』は、迷いや悩みを乗り越える助けになるかもしれません。その一部を、この本の著者のお一人、東北大学副学長の大隅典子さんに紹介していただきます。

若い理系女性へのエール

このたび、講談社ブルーバックスから『理系女性の人生設計ガイド』を上梓しました。そのなかでは、私と共著者であるお二人、そしてその他さまざまな理系女性の、経験談や理系女性を取り巻く状況が語られています。

ここでは、私の体験談の部分を少し紹介します。理系に進もうか迷っている、理系に進め始めたけれど漠然と不安を抱いている、そんな女性に、進路やキャリアを考える手立てにしてもらえればと思っています。

大隅典子さん
 

今私は東北大学で、神経発生学という分野の研究をしながら、副学長として、男女共同参画や広報も担当しています。女性研究者がその力を十分に発揮できる環境づくりにかかわっています。

力を入れているのは、女子大学院生による、女子中高生の理系進学を後押しするための「サイエンス・エンジェル」という活動です。理系女性の卵のための、理系女性によるアクティビティといいましょうか。それを年長理系女性の私たちが見守っている形です。そんな活動のなかで、広く理系女性を応援できたらという思いもあって、本書の出版につながりました。

現在はいい環境のもとで好きな研究に取り組めていますが、ここまでの道は決して平坦なものではありませんでした。まずつまずいたのは、東京医科歯科大学の歯学部の学生として「歯科医ではなく医学系の研究者を目指そうか」と思っているときに、女性ならではの壁にいきなりぶつかってしまいました。今から35年以上前のことではありますが、こういった女性だから起こりうる困難はまだまだ多いと思います。その頃のことからお話ししましょう。

大学院進学。女性だからと門前払い⁉

大学6年生のとき(歯学部6年制)のこと、大学院進学を考えるようになり、研究室をどうしようかといろいろな人に相談したり、研究室を訪問したりしていると、なんと「我々の研究室では、女子学生は採りません」といくつものところで言われてしまったのです。そんな男女差別的な言葉を露骨に口にするなんて、今の時代には考えられませんよね。

ただ、今でこそ医学部や歯学部の女子学生は4割程度にまで増えましたが、当時はまったくの少数派でした。結婚してキャリアをストップさせる女性も実際多かったのですから、嫌がられたのもわからなくはないです。

「大学院重点化」という国の施策が1990年代にあり、大学院の定員が大幅増になったのですが、当時はまだその前。大学院に進む人は、男性でもよほど根性のある人に限られていました。だから、「女の大学院生? 冗談じゃないよ」という研究室が多かったのだと思います。

結局、サークル活動で私が所属していたテニス部の顧問でもあった、江藤一洋教授(現・名誉教授)のところに決めました。分子発生学の研究室です(当時は、顎顔面発生機構研究部門)。受精卵から胎児が育っていく過程における、顔の発生を大きなテーマとする研究室でした。

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