いつも身につけている「三つのリング」

2人の世界をお腹に持っていた樽井さん自身も、実は、美侑さん、その後の妊娠で生まれた沙來(さら)さんと共に、結美さんの存在を形にしていた。子どもが生まれたとき、その子の名前を刻んで作る小さな指輪「ベビー・リング」を、美侑さん、結美さん、沙來さん皆に作ったのだ。
「私はそれをいつも身につけているんです。ほら、三つ」
私がインタビューさせていただいた時も、樽井さんはその三つにチェーンに通し、ネックレスにして身に着けていて私に見せてくれた。

樽井さんの宝物。母と3人の娘たちが強いきずなで結ばれていることを感じる 写真/Zoom録画から河合蘭撮影
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美沙さんは、このリングは娘たちに「何かあったら貸すよ」と言ってある。実際に美侑さんは幾度か母親の首から自分のリングを貸してもらって試合に臨んできた。そして、聖火ランナーとして走る日には、美侑さんは、結美さんのリングを貸してもらうことを選んだ。

  感染拡大の影響で聖火リレーは中止されたが、セレモニーは開催された 写真提供/樽井美沙さん

「美侑は『結美ちゃんと一緒に走りたいから』と言っていました」
新型コロナウィルス感染拡大のためにリレーはなくなったけれど、セレモニーはおこなわれ、そこで美侑さんは火を継いだ。その胸元には、結美さんの小さなリングが光っていた。