「総理大臣になったら何をするんですか?」人気急上昇中の議員の「答え」

小川淳也議員特別インタビュー(1)
小川 淳也, 現代新書編集部 プロフィール

でも、みなさんがご承知のとおり、いまはそういう時代ではない。人間の数が減り続け、低成長が続いている。だから、過去の右肩上がりの時代に作られた道路・住宅・橋・上下水道・病院・鉄道といった社会の基礎を成す大量のインフラ(インフラストラクチャー=社会を構成する基盤)をこのまま維持できるのかというとできないし、1200兆円もある政府債務や年金の負担も人口減少の時代にはますます国民の重荷になっていくのは自明なんです。

 

「昨日よりも今日はよくなる」

「明日のほうが今日よりも人が増えるし、経済も豊かで賃金も上昇する」

そういった意識はもはや幻想で、その幻想を維持できなくなってきたと実際に多くの方々が考えている。それを、どうやったらこのまま維持できるんだろうか、なんとかして右肩上がりの時代を取り戻せるのではないかと、国全体が試行錯誤を続けてきたのがこの30年間、いわゆる「失われた30年」だと思っています。

これはエネルギーという観点からみても同様のことが言えます。石炭や石油のような化石燃料、あるいは原子力発電所などに頼らずに人生と社会が維持されたのは江戸時代が最後です。それが明治以降、今日に至るまで、人間は化石燃料や原発のようなエネルギーを際限なく使い続け、エネルギーの消費量を無限大に増やし続けてきた。エネルギー効率を上げれば上げるほど、持続可能性は脆弱になる。

つまり、大量のエネルギーを消費しなかった江戸時代以前は、平穏な持続可能性を保っていた時代であって、いっぽう明治以降から近年までの人口急増時代は歴史全体から言えば、持続可能性の大きなリスクを伴った時代だということです。

日本に「持続可能性」を取り戻す

──ちょっと待ってください。それは懐古主義というか、一種の理想論じゃありませんか?いまさら江戸時代の暮らしになんか戻れるわけがないですよ。

小川 私は、江戸時代の生活に戻ろうと言っているわけではありません。ただ、これからの右肩下がりの時代にあっては、エネルギーも持続可能性という観点、たとえば太陽光の活用や、あるいは化石燃料・原発からの確実な卒業といった、持続可能性をはかる政策の方向性が徹底的に議論されるべきです。環境問題などもすべてはそこに端を発しています。欧州や中国で、ガソリン車の販売を規制し、電気自動車やハイブリッド車のような車の割合を増やす方向に舵を切り始めていますよね。

──……なるほど。そういう意味であればよくわかります。

小川 そこであらためて図2をご覧ください。人口が減るだけでも大問題なのに、年齢構成・人口構造が大きく変わっています。1955年にはピラミッド型の三角形、若い人の割合が高かったのが、2055年には高齢者が多数を占める逆ピラミッド型、逆三角形に移行します。つまり、通常の三角形の時代にあわせて設計された日本の社会インフラや年金をはじめとする社会保障制度は、これからの超高齢社会を支えきれなくなるのは自明です。若い人が少なくなるのですから当たり前の話です。

【図2】人口構成の激変(再掲)
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ということは、社会保障を負担するのは現役世代だけではなくて全世代で分かち合うという形にしなければならないし、給付だって、もはや高齢者一律とはならない。本当に必要なところに過不足なく届けるという大きな社会改革がどうしても必要になります。

高度成長と賃金上昇が当たり前の前提だった時代から、低成長と賃金の低下が常態となるような時代に、こうした大きな改革を社会のすみずみまで、持続可能性を取り戻すレベルまで断行しなければならない。そしてそのためには、「経済はなんとか成長させる、株価も賃金も上げるから、あとは自己責任で生きてほしい」というスタンスの現状の社会を「教育や介護や福祉が必要な人には無償に近い形で利用できるように社会設計を大きく見直すから、そのための国民負担についてはきちんと議論させてほしい」という政治・社会に移行しなくちゃならない。

その点をまずは強調しておきたいです。

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