# 音楽

『ボヘミアン・ラプソディ』、ラストまで「仕掛け」だらけの凄い映画だった!

「コンプレックス・ソング」の魅力とは
菅原 裕子 プロフィール

ここまで見てきただけでも、波乱に満ちた物語と、バリエーション豊かで濃厚な音楽が見事にマッチしていることがわかるだろう。卓越したメロディラインとドラマチックな展開を備え、エモーションに訴える彼らの音楽。劇中では、長年のファンにとってはすでに馴染みの音楽がふんだんに流れ、心地よく「浴びる」ように味わうことができる。まるでショーを観ているかのようだ。

しかし、再び流れてきた「Somebody to Love」を機に物語は大きく動く。この曲を背景に、彼がライヴエイド会場へ向かう冒頭シーンへとつながるからだ。「愛せる人がほしい」という叫びを境に、映画はクライマックスへと向かう。

 

 観客と「共に奏でる」クライマックスへ

ショーケースに並べられたきらびやかな音楽に身を委ねるようなそれまでの幸福感が、最後のライヴエイドのシーンでがらりと変容する。私たちは、劇中で再現されたフレディの半生をスクリーン越しに見つめる傍観者だった。

しかしここからは、ウェンブリースタジアムに迷い込んだ観客そのものになる。この先、音楽は単に彼の物語を飾るものではなく、人生そのもの。生きた証を刻み込むかのように、フレディは圧巻のパフォーマンスを繰り広げる。スクリーンの中の観客も、私たちも熱狂する。史実とは状況が異なるのだが、この時の演奏はまさに一世一代の名演であったと今も語り継がれている。

 

そして面白いことに、ここから映画的な「仕掛け」がいくつも施されているのである。特にライブシーンから一つ挙げてみよう。

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