# 音楽

『ボヘミアン・ラプソディ』、ラストまで「仕掛け」だらけの凄い映画だった!

「コンプレックス・ソング」の魅力とは
菅原 裕子 プロフィール

聴いてみるとすぐわかるが、一曲の中に変調がいくつもある。いきなり始まるアカペラのコーラス(A)から、フレディのしっとりしたバラード(B)へ。しかし(C)ではがらりと変わり、独特の喧騒に満ちたオペラ風に。かと思えば、次はハードロック調ギターソロ(D)。そして再びフレディのボーカル(B)へと戻り、終わる。

つまり、この曲には

(A)アカペラ→(B)バラード→(C)オペラ→(D)ハードロック→(B)バラード

という、異なるジャンルが共存しているのである。 

普通の曲は、イントロの次にAメロが入り、Bメロ、サビ、またAメロに戻り、Bメロ、間奏….などと続くものだ。もちろんメロディの組み合わせは無数だが、たいていは聴き手が安心感を覚えるよう予定調和に構成される。

実際のクイーンのメンバー。左からジョン・ディーコン、ロジャー・テイラー、ブライアン・メイ。フレディ・マーキュリー[Photo by gettyimages]
 

しかし「ボヘミアン・ラプソディ」は「次」を予想させない。まったく規格外なのである。実際、フレディは元々3曲を数年かけて別々に作っており、後にこの曲へと合体させている。この奇妙さに世界中は度肝を抜かれ、前代未聞の「すごくてヘン」な曲はあっという間にヒットチャートを駆け上った。

そしてこの曲と同じくらい、大胆で波乱に満ちた人生をフレディは送った。そのような意味で、彼の半生を描いた映画も様々なシーンとそれに合うクイーンの名曲が折り重なった「コンプレックス」な物語で、この曲と相似を成していると言えよう。

フレディの半生を名曲で紡ぐ「ショー」

映画では2時間余りの間に、その時々の心情に寄り添いながら彼の半生の足取りをたどることができる。青春時代の活気、メアリーへの穏やかな愛情、焦燥、迷い、絶望、そして希望。クイーンの曲と共に、波乱に満ちた彼の半生を垣間見る。誤解を恐れずに言えば「ショー」のように。

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