『逃げ恥』『シン・エヴァ』…「リテラシーが低い人を差別しない」作品が時代を制する

「オープンワールド化」する作品たち
稲田 豊史 プロフィール

『ドラえもん』などのファミリーアニメ、『交響詩篇エウレカセブン』などのSFアニメほか、実写の映画やドラマの脚本、ゲームシナリオなども手掛ける脚本家の佐藤大氏は、作品の作り方を根本から変える必要がある、と考えている。

「説明セリフを入れざるをえないのは仕方がないとして、脚本家としては、それとは別の部分に違うものを入れる、という戦い方をしなければいけないと思うんですよ。たとえば、『逃げるは恥だが役に立つ』や『MIU404』の野木亜紀子さんの脚本。すごくわかりやすくセリフで説明していながら、その背景にある社会問題や、彼女自身が追求したいテーマをしっかり入れ込んでいます

そしてここが大事なところですが、もしリテラシーの低い視聴者が『逃げ恥』の背景にあるテーマを十分に汲み取れなかったとしても、排除された気分にはなりません。ドラマはちゃんと楽しめる。そういうふうに、脚本が書かれているんです」(佐藤氏)

リテラシーの低い視聴者に劣等感を抱かせなければ、前編で佐藤氏が指摘したように「作品にクレームをつけてマウントを取ってくる」こともない。しかも、それでいてリテラシーの高い視聴者は、作品の奥行きを堪能できる。どちらの観客も満足させる作品づくりが求められているということか。

「NHK朝ドラの『あまちゃん』もそうでしたよね。リテラシーの高い人は細かいサブカルネタや80年代の時代背景を掘り下げて楽しんでいたけど、それがまったくわからない人も、のんさんの奮闘をただ追いかけているだけで、楽しめました」(佐藤氏)

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