『逃げ恥』『シン・エヴァ』…「リテラシーが低い人を差別しない」作品が時代を制する

「オープンワールド化」する作品たち
稲田 豊史 プロフィール

ここでテレビマンたちは、あることに気づいた。視聴者は、いま何が行われているかわからないと、再びチャンネルを変えて去ってしまう。それを防ぐには、テロップを常に表示させておいたほうがいい、ということに。それがいくら説明過多であっても、だ。

それに、常にテロップで説明されていれば、テレビをぼんやり見ている、あるいは家事などをしながらテレビを見ている視聴者が、ふと番組に意識を向けたとき、すぐ内容に追いつける。

「しかも、あれだけ画面を文字情報で埋め尽くしても、意外と視聴者は情報過多だとは感じず、問題なく番組を見続けられることも判明しました。結果、各局・各番組がマネをして、どの番組も似たような画面になっていったのです」(森永氏)

 

「説明がないとわからない」のは民度の問題ではない

テレビをつけたらやっている番組が情報過多なものばかりになれば、視聴者も“すべてが説明されている状態”に慣れる。慣らされる。それが普通だという感覚になる。

「慣らされた結果、説明セリフの少ないドラマや映画を観ると、“情報が少ないな”と感じて、物足りない気分になる。それで早送りするなり、ついスマホを見たりしてしまう」(森永氏)

倍速視聴が習慣化している人はよく、「もはや普通の速度では物足りない。1.5倍か2倍くらいがちょうどいい」と言う。彼らは言語による情報供給スピードが遅いことに、我慢がならないということか。

「そういう意味では、YouTubeの動画はテレビよりずっと編集のテンポが早いし、情報で埋め尽くされていて密度が高く、倍速を好む視聴者が冗長と感じる“間”というものが、テレビと比べれば少なめであると言えます」(森永氏)

その情報密度、そのテンポに慣れてしまえば、映画のワンカット長回しや、セリフなしでの沈黙芝居に耐えられなくなるのは、当然かもしれない。

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