『逃げ恥』『シン・エヴァ』…「リテラシーが低い人を差別しない」作品が時代を制する

「オープンワールド化」する作品たち
稲田 豊史 プロフィール

読者や視聴者に楽しんでもらうのがエンタテインメントの目的だとしても、読者が要求するものを、ただそのまま供給するのは、ただのポピュリズム(大衆迎合主義)だ。不倫報道で売上部数を伸ばそうとする週刊誌や、中身はなんでもいいからとにかくPVを稼ごうとするネット記事と、志の低さという意味ではさほど変わりない。それが資本主義だというのなら、特に反論はないが。

「もうひとつ、スマホゲーム原作のTVアニメも、説明セリフが過多になる傾向にあります。なぜなら、出資元であるゲーム会社の最終目的は、ゲームをダウンロードしてプレイさせること。彼らにとって、アニメ本編はゲームのチュートリアル(入門的な位置づけ)ですから、説明的にならざるをえない。

要するに、1クール12話なり13話なりをかけて、自社のゲームを理解し興味を持ってもらえるコミュケーションをしているんですよね」(森永氏)

 

なぜテレビは「テロップ」がやめられないのか

説明過多といえば、テレビのバラエティ番組や情報番組だ。今は何のコーナーで、何が行われているか。次に登場するタレントは誰か。そういったインフォメーションが、常に画面の上部・下部・四隅にテロップとして出ている。情報の洪水。

しかし、これにも理由がある。

「テレビマンは常に、同じ放送時間帯の他番組や、番組全体として視聴率が良い番組を、非常に細かい時間単位に区切って研究しています」(森永氏)

ここで重要なのが、彼らは「視聴率が上がるのは色々な要素が複合的に作用していると考えるが、視聴率が下がるのは自分たちの責任だと考える」(森永氏)点だ。

つまり、今までチャンネルAを見ていた視聴者がチャンネルBに変えた場合、チャンネルBで観たい番組があったからなのか、たまたまザッピングした結果Bに行き着いただけなのかはわからない。しかし、「チャンネルAがつまらないと思って離脱した」のは確実だということだ。

「ですからテレビマンは、なぜ視聴率が落ちたのかを特に研究することとなり、『最初からいた視聴者は、とにかく取りこぼさない』『番組の途中でやって来た視聴者は、絶対に逃さない』ための対策を講じます」(森永氏)

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