2010.07.13
# 雑誌

トニー・シェイ〔Zappos.com CEO〕アマゾンが欲しがった靴のネット通販経営者はツイッターフォロワー170万人をどう生かしたか

セオリー

 たとえば、通常、コールセンター業務は時給払いの単純労働である。キャリアとしては、管理職になってようやく昇給できるぐらいの展望しかない。

 しかしザッポスでは中核部署である。有能で生きがいを感じる人が収入面で悩まないよう、また自己実現の道を広げるためにザッポスではチャットやEメールなど17の「スキルセット」を設け、スキル習得に基づく昇給を可能にしている。

 自分の好みにあわせてスキルを選び、こつこつマスターしていけば時給が上がり、専門職として管理職以上の収入を得ることも可能だ。

 またザッポスでは、全社的なリーダー養成プログラム「パイプライン」が全部署で稼働している。電話の応対から始まる4週間の新人特訓からザッポス社史、コミュニケーション、コーチング入門、リーダーシップ特講、スピーチ、文法及びライティングなど20以上のクラスが用意され、講師は社内から選抜されたチームである。

 個々の社員が辞めても社内補充を可能にするシステムということではパイプラインそのものが、ザッポスのブランドや企業文化に並ぶ資産となるはずだ、とトニーは考えている。自分がいなくともザッポスがリーダー不在にならないように、ということなのだろうか。

「鳥の群れは、リーダーが合図するわけでもないのに一斉に方向転換して混乱がない。そんな組織がいいと思うのです。鳥の群れはヒエラルキー型ではなく特定のリーダーが一羽いるわけでもない。
  しかし鳥は仲間と同じ速度で飛びながら、ぶつからないように集合し続けるだけでキレイな方向転換もしてみせる。個々の鳥の本能です。企業文化がその本能のような役割を果たせたらいい、と思うのです」

トニー流ツイッターを最大限に活用する法

 ブランドなるものの中身は、要は商品への消費者の信頼感だから、大量宣伝すればそれだけでブランドが確立するというものではない。それよりも個々の消費者間の評判が決定的であり、インターネット時代では、クチコミがカギだ。

 ザッポスでは"ツイッター"が有効に機能している。トニーのツイッターには、社内に500人以上のフォロワーがいて、個人レヴェルでの濃密な交流に役立っているが、外部には現在約170万人のフォロワーが付いていて、ザッポスという企業ブランドの定着に絶えず貢献している。そのことについてトニーはこう語る。

「ツイッターのひとつひとつは一見あまり意味のないつぶやきみたいに見えますが、これは(新印象派の画家スーラの)点描画法みたいなもので、積もり積もった点の集合体がひとつの絵になるように、ひとつひとつのつぶやきが集積されていくと、意外なほど、発信者の個性が明瞭に見えてくるものなのです。点が集合して見えてくる一枚の絵、これが私のブランドなのだと思います」

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